2021/01/23
バブル崩壊後に社会に出た「就職氷河期世代」のうち非正規雇用や無職の状況にある100万人を集中支援し、30万人を正規雇用に転換させる政府の目標に暗雲が垂れ込める。実現に向けた計画をまとめてから1年が経過した。雇用環境は少子高齢化に伴う人手不足から一転、新型コロナウイルス感染拡大で冷え込んだ。年明けも緊急事態宣言の再発令で先行きが見えず、シナリオは崩れかねない状況だ。
(SankeiBiz 1月11日)
新型コロナウイルスの感染拡大によって、雇用環境は厳しさを増している。特に、飲食や観光などのサービス業では、非正規雇用の削減に留まらず、正社員の維持も難しくなっており、さらに、事業そのものの存続も危うくなっている企業も増えてきた。この状況では、就職氷河期世代を中途採用しようという企業が減ってくるのは、致し方ない面もある。
しかし、非正規雇用を続けてきた層の中では、氷河期世代は他の世代よりも潜在的な能力が相対的に高いのも事実だ。他の時代に生まれていれば正社員になれたであろう人が非正規で働いてきたとも言える。
筆者は、今、厚生労働省が推進している不安定就労者再チャレンジ支援事業の正社員就職Go UpプログラムでWebマーケティングのセミナー講師を担当している。このプログラムは、非正規で働いてきた氷河期世代の人々に、職業教育と正社員への就職の斡旋をセットにして提供するサービスだ。全国の労働局が非正規で働く地域の氷河期世代を集めてセミナーを開催している。新型コロナウイルスの感染防止のため、セミナーはオンラインに移行し、講師は全国の受講者と接することになった。そこで感じるのは、全国の受講生の潜在能力の高さだ。正社員としての実務経験はないものの、新しい知識やノウハウを理解し、習得する能力には遜色はない。企業は、履歴書には現れないこうした潜在能力を前向きに評価すべきだ。この世代が人材の宝庫であることに気づくだろう。
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