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「痛勤」何人減ったか、68万人テレワークの成果

20年夏の東京五輪・パラリンピック開催まで残り1年を切る中、政府は19年11月11日に都内で「テレワーク・デイズ2019報告会」を開いた。テレワーク・デイズ2019は、IT(情報技術)を使ってオフィス以外で働くテレワークの試行を促すため、政府が7月22日から9月6日まで実施した全国キャンペーンだ。
東京五輪は観客の移動などで交通混雑が予想される。そこで政府は19年のキャンペーンを「大会前の本番テスト」と位置付け、企業や団体にテレワークの一斉実施を呼びかけた。その結果、約68万人、2887団体が参加した。参加人数は前回のテレワーク・デイズ2018の約2倍、参加団体数は1000団体以上増えた。
(日本経済新聞電子版 11月26日)

東京オリンピックの交通混雑緩和を目的としてテレワークを導入しても、オリンピックが終われば元の「痛勤」に戻るのではないかという懸念もあるが、これを契機に、多くの企業や団体でテレワークの技術的、組織的なインフラが整うのなら、それはひとつの成果だ。この経験は将来のテレワークの普及に貢献するだろう。

米国では、9.11のテロ攻撃が、本社機能をワールドトレードセンターのような一つのビルに集中させることのリスクを顕在化させ、テレワークを一挙に普及させるきっかけとなった。しかし、日本では、地震などの自然災害に対するリスクには敏感でも、テロに対するリスクに備える企業は少ない。東京オリンピックへの協力というのは、そうした日本企業をテレワークへ向かわせる格好の原動力となった。少なくとも人事部門が社内を説得する上では、良い理由だ。

ただ、テレワークが広く定着するには、人事評価のあり方も変える必要がある。テレワークの課題として、社員の勤務状況の管理が難しいことがよく挙げられるが、そもそも勤務状況に応じて給与を支払うという制度では、テレワークは難しい。勤務時間ではなく、仕事の成果に対して給与を支払う制度にしなければ、テレワークは定着しない。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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