2019/06/17
ソニーは新入社員の初任給に差をつける取り組みを始める。人工知能(AI)などの先端領域で高い能力を持つ人材については、2019年度から年間給与を最大2割増しとする。対象は新入社員の5%程度となる見通し。デジタル人材の獲得競争は業界や国境を越えて激化している。横並びの給与体系の見直しが進めば、より付加価値の高い分野に人材をシフトさせ、日本全体の生産性を高める効果が期待できそうだ。
ソニーの19年春の新入社員は約400人。新たな制度のもとでは、院卒の新入社員で約730万円の年間給与を得る人が出てくる。
(日本経済新聞 6月3日)
AI技術者の争奪戦が過熱し、その中で日本企業の苦戦は続いている。比較的、大学生の人気の高いソニーも例外ではない。従来の日本流の横並びの給与体系では、優秀な技術者の獲得もできないどころか、自社の技術者を外資系企業に引き抜かれる。ソニーが、横並びを見直して、初任給から差を付けるようにするのは自然な流れだ。
ただ、最大で2割増しというのが、どこまで人材獲得に有効かは疑問だ。NTTドコモは年俸3000万円超の処遇も用意した。外資系企業は、さらに高い。国際的なAI技術者争奪戦で優位に立つには、平均的な日本人社員にいくら加算するかという発想から脱却した方がよい。むしろ、AI技術者の給与のグローバルな市場価格にいくら加算して人材を集めるかを考えるべきだ。
グローバルな市場価格を日本企業の給与体系に組み込むのが難しければ、AI研究部門を別会社にし、本社をシリコンバレーに置くなどして、日本人を含む世界のAI技術者を採用し、世界中に分散配置した研究施設の間で協調しながら研究開発を推進するというのも手だろう。
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