2019/04/13
政府が策定する「AI戦略」の全容が分かった。人工知能(AI)を使いこなす人材を年間25万人育てる新目標を掲げる。文系や理系を問わず全大学生がAIの初級教育を受けるよう大学に要請し、社会人向けの専門課程も大学に設置する。ビッグデータやロボットなど先端技術の急速な発達で、AI人材の不足が深刻化している。日本の競争力強化に向け、政府が旗振り役を担う。
(日本経済新聞 3月27日)
米中に大きく劣後している日本のAI教育だが、ようやく政府が数値目標を掲げた具体的な対策に乗り出す。全大学生の教養としてAIの基礎を学ばせるのは、AIを理解する素養を多くの学生に広めるのに役に立つ。既存のITパスポートのAI版とも言えるだろう。ただ、ITパスポートを持っていてもITの仕事がこなせるわけではないのと同様、AIの初級教育を受けただけでは、AIの概念を理解することはできても活用することはできない。国家の競争力を左右するのは、より専門的な知識を持つAI人材の質と量だ。
この層の人材を25万人という規模で育成するには、まず、教師の質と量が重要だ。日本の大学の教員の待遇は、米国に比べて低い。中国と比べても見劣りがする。外資系企業がAI人材に高額のオファーを提示している今の日本において、大学に残って教員の道を選択する大学院生はそれほど多くないのが現状だ。日本企業が、優秀なAI技術者を獲得するために、伝統的な人事制度の変革を迫られているのと同様に、日本の大学も、既存の給与体系を変える必要がある。
加えて、AI教育の生産性向上も取り組むべき課題だ。たとえば、教室で教授が学生を教えるという伝統的な大学教育だけでなく、優れた研究者が日本全国の学生に教える遠隔教育やAIが学生にAIを教える授業などにも取り組む必要がある。
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