2018/06/09
政府は29日、2017年度ものづくり白書を閣議決定した。人材不足や海外との競争激化で製造業の生産性向上が課題となるなか、カギを握る「デジタル人材」が8割弱の企業で不足しているとした。ロボットやIT(情報技術)導入に課題を抱える企業も3割超あり、経営層が主導して全社的なデジタル化に取り組むべきだと分析した。
(中略)
ITや人工知能(AI)などを使いこなせるデジタル人材については、「業務上必要」とする企業は61.1%。一方で「質・量ともに充足できていない」のは77.4%もあった。白書はデジタル人材を育成して職人らの「現場力」をデータ化し、誰にでも使えるようにして生産性を上げる必要があると分析した。
(日本経済新聞 5月29日)
2017年度ものづくり白書とは、経済産業省が発表した2018年版製造基盤白書のことだ。今年の白書では、直面する課題として、「ものづくりだけで付加価値を獲得していけるのか?」と「人手不足対応ができているか? デジタル人材等は確保できているか?」の2つが挙げられている。その中でも、デジタル人材の確保は、事業分野、事業規模を問わず、日本の製造業が取り組まなければならない喫緊の課題だ。
ただ、不足しているのは、現場のデータを収集し分析する技術者だけではない。日本企業で決定的に欠落しているのは、デジタルデータを経営資産として有効に活用する経営力だ。残念なことに日本では、下の組織が上げてくる報告書だけでなく生のデータから現場の状況を把握し、それを基に経営戦略を構想する能力を持つ経営者も不足している。このことは、もうひとつの課題である「ものづくり以外の付加価値の獲得」を妨げる要因のひとつにもなっている。デジタル時代で競争優位を確保するには、経営者自身、自己変革を行わなければならない。
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