2016/10/29
ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF)は26日付で、各国の男女格差(ジェンダーギャップ)を比較した今年の報告書を発表した。日本は世界144カ国中111位となり、主要7カ国(G7)で最下位。前年の145カ国中101位から大きく順位を下げた。
「経済活動への参加と機会」「政治への参加」「教育」「健康と生存率」の4分野の計14の項目で、男女平等の度合いを指数化して順位を決める。
日本は教育や健康の分野では比較的格差が小さいが、経済と政治の両分野は厳しい評価を受けた。国会議員における女性比率で122位、官民の高位職における女性の比率で113位、女性の専門的・技術的労働者の比率で101位とされた。過去50年で女性の首相が出ていないことも、低評価の一因だった。
安倍政権は2014年から「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げるが、報告書は日本について「教育参加などで改善が見られたものの、専門的・技術的労働者の男女比率が著しく拡大している」と指摘した。
(朝日新聞 10月26日)
安倍政権が女性の社会進出を成長戦略のひとつに掲げているにも関わらず、世界と比べれば、日本の男女格差は広がっている。世界経済フォーラムの評価指標は、経済、社会分野の比重がやや高い傾向にあるが、それにしても、100位以下の項目が数多く並ぶのは、先進国の中では異様な感じさえ受ける。日本は、116位の韓国よりは上だが、中国の99位には劣る。世界の中で見れば、ジェンダー・ギャップはあって当然と思っているイスラム諸国に近い。
日本においては、ジェンダー・ギャップは倫理的な悪であるという考え方は、建前では受け入れられても、本音では、まだ浸透していないようだ。政党や行政がその気になればできるはずの国会議員や官庁の高位職における女性比率が依然として低いのも、そのあたりに原因がある。日本社会の空気を変えるには、まず隗より始めることも重要だ。
また、この報告書で格差が拡大していると指摘された専門的・技術的労働者における女性比率の向上も重要だ。本来、専門的・技術的能力が同等ならば、性別による差はあってはならない。この分野での格差縮小は、他の分野へも影響を与え、社会全体に波及するだろう。
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