2016/05/06
大企業の会社員らが入る医療保険である健康保険組合の2016年度の平均保険料率は、過去最高の9・1%になった。前年度より0・08ポイント高く、上昇は9年連続。1人当たりの年間保険料(労使合計)は平均で787円増え、47万9354円になる。
健康保険組合連合会(健保連)が21日、全国1399組合(被保険者1606万人)のうち、1378組合の集計結果を速報値として公表した。保険料率を引き上げたのは215組合(15・6%)。86組合(6・2%)は引き下げ、1077組合は据え置いた。
会社員の医療保険料は月収(標準報酬月額)に保険料率を掛けて計算し、原則として会社と本人が折半する。保険料率の平均が上昇したのは、高度な医療が広がって支出が増えたことが要因だ。一方、新規採用や定年延長・再雇用の増加で被保険者はこの1年間で約32万6千人増えた。この効果で、今年度の保険料収入は前年度より計約1500億円増える見通しで、保険料率の増加幅は前年度(0・14ポイント)より抑えられた。
(朝日新聞 4月22日)
国民医療費の増加は、高齢者の増加によるところが大きい。厚生労働省の調査によれば、平成25年度の時点で、日本の国民医療費の57.7%は65歳以上の医療費によるものだった。定年が65歳まで延長されたとしても、65歳以下の人が医療費の半分以上を占める高齢者の医療費を支えるという構図に変化はない。それどころか、保険料収入の増加を超えて、高齢者の医療費が増加する状況は加速している。
今年度は新規採用や定年延長・再雇用の増加で保険料収入が増えることが予想されているが、この傾向を持続させなければ、健康保険料率は急激に増加していくことになる。医療費は景気の良し悪しに関係なく増加していく。高齢者の定年延長・再雇用は、企業を越えた社会の問題として、景気に左右されることなく、着実に推進していかなくてはならない。
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