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理研、AI研究の新拠点トップに若手東大教授

政府が国家戦略の一環で6月にも理化学研究所に新設する人工知能(AI)研究センターの全容が9日、明らかになった。東京駅周辺のビルに拠点を設け、センター長には東京大学の杉山将教授(41)を充てる。人工知能は自動運転やロボットなどへの応用が期待される。若手をトップに据え、研究で先行する米国などを追い上げる。

杉山教授は東京工業大学出身。機械学習などの研究を手掛け、2014年度の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞した。新センターは約100人で研究を始める。他の大学や研究機関に在籍したまま雇用契約を結ぶ制度などを使い、若手研究者が多く参加できるようにする。研究の指導役にはロボット技術で著名な米カーネギーメロン大学の金出武雄教授を招く。

新センターの目標は従来にない人工知能の開発だ。数学の理論を追究しわずかなデータで急速に賢くなる仕組みなどを取り入れる。詳しく教えなくても正確に動く組み立てロボットや、乗る人ごとに快適な乗り心地を提供できる自動運転技術などを開発する計画だ。
(日本経済新聞 4月9日)

従来、政府の研究機関のトップに就くのは、学会の重鎮と言われる人が多かった。トップ自身が研究を牽引することより、学会内や関連組織の人脈とその中での研究資金の配分を問題なくこなす能力が期待されていたからだ。

しかし、今回、理化学研究所に新設する人工知能研究センターのトップには、異例の若手が抜擢された。斬新な研究成果を期待するなら当然の人事だ。

民間では、このような人事は珍しくない。筆者も、かつて、IT企業で人工知能の研究開発や顧客への適用支援をしていたが、人工知能の新組織をつくるときには、社内の各部署から若手の技術者を集め、各プロジェクトのリーダーも30歳前後の若手を揃えた。

STAP細胞では、とかく組織の問題を指摘された理化学研究所だが、これを契機に、科学技術の地平を切り拓く研究機関として、より、研究者が能力を発揮できる組織に進化してもらいたい。

谷萩 祐之

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谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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