2016/02/29
調査機関「Great Place to Work Institute Japan(GPTW)」は2月12日、2016年版の日本における「働きがいのある会社」ランキングを発表した。これは企業と従業員のそれぞれにアンケートを実施し、結果を数値化して順に並べたものだ。今回、従業員1000人以上の企業が対象の大規模部門は「日本マイクロソフト」が1位に選ばれるなど、合計95社がランキング入りを果たした。
ユニークな取り組みの一つ目が大規模部門1位の日本マイクロソフトの取り組み「リバースメンタリングプログラム」だ。2015年から始めたもので、通常のメンター制度とは逆に、入社2年目前後の若手社員が役員のメンターになって教えるというものである。
役員はSNSの使いこなし方や若手の価値観などを学び、新鮮なものの見方を身に付けることに役立てている。ここだけ見ると役員向けに見えるが、この取り組みが若手社員の働きがい向上につながっている。プログラムに参加する若手社員は「役員に直訴して社外活動の承認を得られた」「今後異動して働きたい教育事業部門の状況が分かった」など、自分なりのやりがいを見出す場としても活用できているからだ。このプログラムは、若手社員が自分でメンターをしたい役員を選ぶところから始まる。若手社員と役員は月1回程度会議室などで数時間話し合う。会社近くのレストランで食事しながらというケースもある。もともとはオーストリアのマイクロソフトで始まり、若手社員および役員の両方から評判が高かったことから日本でも取り入れた。役員の度量にもよるが、お金もそうかからず効果が見込める、検討しやすい取り組みだろう。
(日経ビジネスオンライン 2月17日)
地位に関係なく比較的フランクに話せる外資系企業といえども、入社2年前後の若手社員が役員に対して思ったことを率直に話すのは難しい。上級管理職が若手を上から目線で教育するという従来のメンター制度では限界があった。
その点、若手社員が知っていることを役員に教えるというスタンスで会話をすれば、対等にコミュニケーションをとることができ、人としての信頼関係を醸成しやすい。信頼関係が確立すれば、直接教えていること以外にも話題が広がり、お互いに得るところは多いだろう。
まずは、地位に開きのある人同士が、会って自然に話せる機会を作ることが大切だ。そうすれば、若手社員が教えてくれるSNSなどコミュニケーション手段もよりいっそう役に立つ。
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