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ジーユー、アジアの現地幹部を日本で育成

ファーストリテイリング傘下のジーユーは今春、アジアの現地幹部を日本で育成する制度を始める。選抜した中国と台湾の現地社員を日本に呼び、本部で1~2年間勤務させる。研修後現地に戻して店長や部長などを経て、現地法人の役員候補とする。現地人材の育成を強化し、アジアでの出店拡大に備える。
第1弾として中国と台湾の現地社員計5人ほどを選び、日本で勤務させる取り組みを始める。国内店舗で在庫管理や接客などを経験するほか、本部で商品開発や物流管理などの業務にもあたる予定だ。

ジーユーは2013年に中国に海外1号店を設け、14年には台湾に進出した。現在計8店舗を運営し、今後出店を加速する考え。店長クラスや店舗管理者を育成するほか、現地法人役員などを視野に本部の運営手法なども習得してもらう。

同じくファストリ傘下のユニクロは原則、新規国には日本などから幹部社員を送り込んできた。ジーユーは現地での教育に日本での育成も合わせることで、多店舗化のスピードを上げられる人員体制にする。
(日本経済新聞電子版 2月13日)

かつて、製造業が生産拠点を海外へ盛んに移転していた頃、多くの現地法人の従業員を日本で研修していた。今や、小売業も海外で稼ぐ時代となり、現地法人の人材を日本で育成することは珍しいことではなくなった。
海外展開のスピードを上げるには、日本人の幹部社員を現地法人に送り込むより、現地の従業員を幹部に登用する方がよい。幹部に昇進する機会があると分かれば、幹部にふさわしい有能な人材が集まってくるという側面もある。
ただ、現地法人の幹部が現地人だけになると日本の本社との意思の疎通は以心伝心というわけにはいかなくなる。ガバナンスのルールの明確化もさることながら、企業文化や価値観の共有も重要な課題だ。その意味では、日本での幹部研修は有意義だろう。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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