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労働人口の49%、AI・ロボで代替可能に

野村総合研究所は2日、10~20年以内に日本で働いている人の49%の仕事が人工知能(AI)やロボットで代替可能になるという研究結果を発表した。具体的な職種としてIT(情報技術)保守員や建設作業員、タクシー運転手などを挙げた。
抽象的な概念を創出したり、他者との協調や説得が必要になったりする外科医、ファッションデザイナー、雑誌編集者などは代替の可能性が低いとしている。
野村総研は英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授らとの共同研究で今回の結果を導き出した。「データ分析や秩序的・体系的な操作が求められる仕事、特別なスキル・知識が必ずしも必要ではない仕事は代替される可能性が高い」と指摘した。
オズボーン准教授らは、米国では労働人口の47%、英国では35%がAIやロボットで代替可能としている。日本の割合が米英を上回ったのは「ホワイトカラーの労働生産性が低く、AIやロボットで代替できる仕事をしている人が多いからではないか」(野村総研2030年研究室)という。
(日本経済新聞 12月3日)

近年、人工知能(AI)とロボット技術の進歩は目覚ましい。特に、この二つの技術を融合させた自律性の高いロボットの出現で、知的な判断を伴う作業の自動化も可能になりつつある。

1980年代、通産省は第5世代コンピューター研究開発プロジェクトを国策として立ち上げ、AIの実用化を目指した。当時、筆者もIT企業のAI開発推進室にあって、人間の専門家を代替するようなエキスパートシステムの開発と社会への適用を行っていたが、この頃のAIは、人間の知識をコンピューターに教える必要があり、知識の表現とメインテナンスに限界があった。

それから30年、今やAIは、自ら知識を習得する学習機能を備えるに至った。これにより、自律型ロボットは、予め手順が決められた単純な作業だけでなく、状況を判断し、それに応じて適切な作業を選択して行動することもできる。

今回の予測は、10~20年の間を想定しているが、米国のコンピューター研究者、レイ・カーツワイルは、AIが人間の能力を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)が2045年に訪れると予測している。シンギュラリティ後の世界は、今回の予測で代替の可能性が低いとされた職種も含めて、AIへの代替が進むだろう。教育のあり方を含め、人間が今後どのような役割を担うべきかについて、今から考えておく必要がある。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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