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大卒内定5年連続増、人気業種へ集中進む

日本経済新聞社が18日まとめた2016年度の採用状況調査で、主要企業の大卒採用内定者数(16年春入社)は15年春入社実績比で2.7%増え、5年連続のプラスとなった。国内外でM&A(合併・買収)などを強化している銀行や保険が高水準を確保し、非製造業で3.0%増えた。選考期間が短くなった影響で人材の奪い合いが激しく、内定数を減らす業種も増えた。5割超の企業が採用活動を続けており、内定数は今後増える可能性がある。
(日本経済新聞 10月19日)

足元では、中国を始めとする新興国の景気減速懸念によって、設備投資に慎重な姿勢が目立つ大企業だが、新卒採用は積極的に拡大させている。新卒正社員の確保は、設備投資よりも長期的な視点で判断される。大卒内定者数の増加は、企業が長期的な成長に自信を深めている証左だ。

一方で、ほぼすべての業種で採用を増やした結果、業種間の競争が激しくなり、計画数を確保できていない業種も目立ってきた。銀行や保険が計画通り確保しているのに対して、住宅、外食などでは計画未達の企業も多い。

売り手市場の中、学生の人気によって、ある程度内定数が左右されるのは致し方ない。しかし、業種間の格差が極端に拡大すると、学生に人気のない業種では、人材を確保できないことが成長の阻害要因となりかねない。

内定者確保に苦慮している業種は、足元の労働環境を改善させるとともに、長期的な成長へ向けたビジョンを示すことで、学生にその人世を賭すに値する企業だと認識されるよう、努力する必要がある。

谷萩 祐之

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谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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