厚生労働省が9日まとめた2013年の雇用動向調査によると、働く人のうち新たに就業した人の割合を示す入職率は、前年より1・5ポイント高い16・3%となり、仕事から離れた離職率(15・6%)を6年ぶりに上回った。景気の回復で新規の雇用が増えて、女性や高齢者が働きに出ている。
5人以上のオフィスや工場を調べた。13年末の常用労働者は4624万人と前年末から0・7%増えた。産業別にみると、14業種のうち10業種で入職率が上回った。特に建設業や情報通信業、宿泊飲食サービス業、医療・福祉で1ポイント以上、入職率の方が高かった。
逆に製造業は離職率が入職率を1・2ポイント上回った。生産の海外シフトが進んで働く場所が減っている。
働く人に占める転職者の割合も10・5%と前年より1・4ポイント上がり、8年ぶりの高水準となった。(日本経済新聞9月10日)
2013年の雇用動向として言えることは、「雇用全体が増加している」ということと「雇用が産業間で移動している」ということだ。
2013年はアベノミクス効果で株価も上昇し、景気は回復傾向にあり、雇用全体が増加した。入職率が離職率を上回ったのはそのためだ。これは、その後の景気回復の持続にプラスに働く。
雇用の増大を支えたのは、建設業やサービス業だ。これらの産業が製造業の雇用の落ち込みをカバーして全体を押し上げた。つまり、製造業から建設業やサービス業への雇用のシフトが起きている。
サービス業、中でも宿泊飲食サービス業、医療・福祉の賃金は、人手不足から上昇傾向にあるが、一般に製造業に比べると低い。したがって、雇用の産業間のシフトは、勤労者の給与所得全体にとってマイナスに働く。製造業に頼ってきた地方で景気がなかなか回復しない原因のひとつにもなっている。
これらの雇用に関するプラス要因とマイナス要因に加えて消費税増税や円安などのマクロ経済の変化が今後の景気に影響を与える。その結果、今後の雇用がどうなるのか、注意深く見守る必要がある。
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