企業の女性登用策が多様化している。キリンホールディングスや清水建設は女性管理職の早期育成に向けて研修制度を充実。商船三井は女性が復職しやすい制度を導入し、三菱マテリアルは女性の採用割合を2倍にする。2020年までに企業や官庁の管理職の女性比率を30%に高める政府目標に対応した企業の制度整備が加速している。
キリンホールディングス傘下のキリンは9月から、若手・中堅の女性社員約30人を選抜、リーダーシップなどを学ぶ「次世代リーダー育成プログラム」を始める。21年までに管理職に占める女性比率を現在の約4%から12%(約300人)に高める計画で、プログラムはその一環。清水建設も18年度に女性管理職を現在の2倍に増やすため、入社15年目の女性社員が全員参加する管理職育成講座を設置する。
(中略)
商船三井は4月から夫の転勤など家庭の都合で退職した女性社員が復職できる仕組みを導入した。配偶者が同社の社員でなくても離職から4年以内なら適用し、退職前と同じ待遇で迎える。日本郵船は子育て中の女性社員でも海外勤務ができるように、勤務先となる海外の保育機関や教育機関との連携を強める。
(日本経済新聞8月15日)
政府が女性管理職の比率を30%にするという目標を設定したこともあって、各企業で女性管理職を増やす取り組みが活発化している。
たとえば、新入社員に占める女性の割合が少ない企業は、女性の採用を増やしている。三菱マテリアルは14年春に14%だった新卒総合職に占める女性割合を、17年には30%に高める数値目標を設定した。そもそも新入社員の女性比率が30%未満では、女性管理職比率を30%にするのは難しい。
さらに、キリンや清水建設のように、管理職候補の女性の育成を強化する企業もある。大卒新入社員に占める女性の割合に比べて女性管理職が少ない企業では、まず、女性従業員の意欲と能力を高めるためにこうした取り組みから始めるのは有意義だ。ただし、女性だけを集めて教育するというのは女性を特別視しているということでもある。本来は、性別に関係なく能力開発と管理職への登用がなされる人事制度と組織風土を築くべきで、女性管理職育成講座は過渡的なものと理解すべきだ。
逆に、三井商船や日本郵船は、有能な女性の数を増やすことより、減らさないことを重視した施策を取っている。これは女性であることのハンディキャップを埋めて性別による差を無くすという意味で、将来に渡って重要な施策である。
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