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トヨタの15年度採用3割増、非正規300人超を正社員に

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トヨタ自動車は11日、2015年度の採用計画(新卒は16年春入社)を発表した。工場現場で働く期間従業員の正社員登用枠を14年度実績の3倍となる300人超に増やす。技能職と呼ばれる工場現場職の採用も14年度実績比で4割増の1千人とする。働く人の格差を減らすことで、ものづくりの競争力を高める。
15年度の従業員採用の計画総数は前年度比3割増の2275人。リーマン・ショック前に計画を策定した08年度に次ぐ規模となる。14年度実績は1744人だった。
トヨタは採用から1年たった期間従業員について、優秀な人であれば職場推薦や面接などを経て正社員として登用している。15年度はこの数を大幅に増やす。トヨタには現在、約3千人の期間従業員がいるが、今回の登用枠拡大で「5人に1人は正社員になれる計算」(トヨタ)という。
あわせて、工場現場を支える技能職社員も積極的に採用する。人手不足が続くなか、足元の工場現場では4年ごとのペースで人を補充している。これを2年ごとで済むように層を厚くする。
女性や理系社員の積極採用も進める。業績がリーマン・ショック前の最盛期の水準に回復するなか、雇用面でもトヨタの存在感が高まっている。
(日本経済新聞3月12日)

厚生労働省が同日(3月11日)発表した2月の労働経済動向調査によると、労働者過不足DIは、正社員で2014年11月より9ポイント高い31となり、過去最高となった。労働者過不足DIとは、「従業員が不足している」とする事業所から「従業員が過剰」とする事業所を引いたもので、0より大きいと不足感を示すものだ。

パートタイム労働者の過不足DIも3ポイント高い29と増加を続けているが、2月は6年9か月ぶりに正社員のDIがパートタイム労働者を上回った。景気回復に伴う人手不足はすぐに増員できない正社員でより深刻になりつつある。

このような中、トヨタも国内での正社員の採用増と非正規従業員の正社員化を加速させ始めた。さらに、トヨタは、一時金を満額回答、ベースアップを過去最高の3,700円前後にすることで調整している。日本の製造業の中にあって大きな影響力を持つトヨタが雇用と賃金の両面で経済をけん引することで、日本経済全体への波及効果が期待できる。

特に、今回、国内の製造拠点で働く技能職社員の採用を拡大したことは、国内での製造ノウハウの進化、継承とともに、関連産業を含めた雇用創出の面でも効果が大きい。

谷萩 祐之

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谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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