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日本生命、契約社員を65歳まで雇用

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 日本生命保険は9日、フルタイムで働く契約社員1千人強を無期雇用に切り替え、希望すれば65歳まで働けるようにする方針を固めた。育児や親の介護のために出退勤の時間をずらせるフレックスタイム制も導入し、仕事と家庭の両立を後押しする。安心して働き続けられる環境を整え、優秀な人材をつなぎ留める。
勤続2年以上の社員を対象に2016年4月から導入する。現在は1年ごとに契約を更新する有期雇用の形態だが、60歳定年の無期雇用契約に切り替える。再雇用制度を使えば、65歳まで働けるようになる。本人の能力次第で事務職への登用も可能な仕組みにする。
契約社員の待遇改善を巡っては、三菱東京UFJ銀行が昨年、1万人超を無期雇用に切り替えることを決めた。明治安田生命保険も17年4月から無期雇用への転換を進める方針だ。18年4月以降に無期雇用への転換を義務づけた改正労働契約法の趣旨を先取りするとともに、働く人の意欲を高める狙いがある。
日生は内勤の約1万8千人のうち、7千人が有期雇用。パートで働く6千人は今回の無期雇用化の対象外で、どのような雇用形態がふさわしいかを引き続き検討する。(日本経済新聞3月10日)

2013年4月1日に改正労働契約法の無期労働契約への転換が施行された。これにより、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない無期労働契約に転換することが義務付けられた。2018年4月はこの5年ルールが施行されて5年目に当たる月だ。金融機関は、2018年4月を待たずに契約社員の無期雇用への転換を始めている。

有期雇用で働く人は約1,200万人で、その内、3割は通算5年を超えて有期労働契約を繰り返している。契約社員でも特別な業務ノウハウを必要とする金融機関では、その割合はさらに大きい。金融機関としてもノウハウを蓄積した有能な契約社員に長く働いてもらうことは、業務の質と効率を維持する上で重要だ。有期雇用から無期雇用への転換に積極的なのはうなずける。

日本生命は、勤続2年以上の契約社員を無期雇用への転換の対象にするなど、改正労働契約法の規定よりも対象を広げ、さらに、正社員と同様に、再雇用制度を使えば65歳まで働けるようにする。改正労働契約法による義務を超えたこれらの施策は、多様な働き方の選択肢を用意しつつ同時に組織の中にノウハウを継承する仕組みを構築する上で効果をあげるだろう。

谷萩 祐之

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谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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