2017/01/21
日立製作所は米不動産サービス最大手のジョーンズラングラサール(JLL)と、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」事業で提携する。各種センサーでオフィスの利用状況や人の動きを細かく調べ、人工知能(AI)解析を加えて職場づくりを顧客企業に助言する。働き方改革を進める日本などアジア各国で事業を共同展開する。IoTの活用の場が製造業などから広がる。
(中略)
日立のIoTサービス基盤「ルマーダ」を活用する。顧客企業のオフィス内にある机や椅子、扉などに小型センサーを取り付ける。感知した熱や振動データから、各社員がどれぐらい机に向かっていたか、いつどのように会議室を利用したかなどの情報を集める。
収集データはルマーダ内のAIで解析し、作業が滞る場所や時間帯、無駄な空間の有無といった問題点をあぶり出す。JLLの専門コンサルタントが解析結果をもとに、設備のレイアウト変更や最適な作業手順を助言。仕事効率の向上に役立ててもらう。社内での無駄な移動や会議も減らせるため、長時間勤務の是正にもつながる。
(日本経済新聞 1月16日)
物流や工場の製造工程などに比べて、オフィスの業務効率化は遅れている。オフィスでも単純な事務作業はITによるシステム化で人手に頼ることは少なくなってきたが、会議や社内資料の作成に費やす時間はなかなか減らない。IoTでデータを収集して業務の実態を可視化し、それらのビッグデータをAIで分析して、問題点や改善策を明らかにすることができれば、確かに業務効率化の役に立つ。
ただ、会議や打ち合わせには、一見無駄に見えても、今までにない新たな発想を得るために重要な意味を持つものもある。直近の仕事に直接関係ない会議をすべて無駄として切り捨てると組織の創造力を削ぐことにもなりかねない。また、機密保持のために、開催したこと自体を秘密にしなければならない会議もある。IoTによる可視化とAIによる分析をオフィス業務に持ち込むには、こうしたことにも考慮することが大切だ。
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