2025/02/10
労働組合の日本介護クラフトユニオンは30日、介護職員の2024年7月の基本給が平均26万5711円だったとの調査結果を公表した。全産業平均の33万200円より6万4489円低かった。組合は他産業の賃上げに追い付いていないとして政府に改善を求める。
介護職員の給料は、公費や保険料を財源とする「介護報酬」で賄っている。物価高で事業運営コストが増加し、多くの介護事業者が経営に苦しむ中、人手不足も深刻化。組合の染川朗会長は記者会見で「現場は『長く働いても給料が上がらない』と不安を感じている。報酬の引き上げが不可欠だ」と訴えた。
組合によると、全産業平均との格差は8万1654円だった13年以降は縮小傾向となり、21年には4万2184円になった。その後は他産業の賃上げに追い付かず、22年は5万782円、23年は5万5640円と拡大している。
調査は24年9~10月、有料老人ホームや訪問介護事業所などで働く組合員5544人を対象に行い、3346人から回答を得た。
(共同通信 1月30日)
2024年に人手不足が一因となった倒産は、13年以降で最多の289件(前年比81.7%増)に達したと東京商工リサーチが発表した。
内訳は 「求人難」が114件(同96.5%増)、「人件費高騰」が104件(同76.2%増)、「従業員退職」が71件(同69.0%増)。同社は「無理な賃上げで人件費上昇に耐えきれなくなった倒産が増えており、適正な価格転嫁など収益強化への投資・支援が急務」と指摘するが、価格転嫁のできない業種のひとつが公定価格で経家する介護事業だ。
1月30日の記者報告会で、日本介護クラフトユニオン(NCCU)の染川朗会長は、次のように述べた。
「厚生労働省は、2023年10月の時点で前年より2.9万人の介護職員が減少したと発表した。これを“衝撃的”とする向きもあるが、NCCUの調査結果を見れば予測可能だと分かる。2021年まで縮小し続けてきた他産業との格差は、2022年からふたたび開き始めているからだ。こうして原因は分かっているのだから、次の報酬改定を待たず、国には早く対策を打ってもらいたい。そのために、この調査結果をNCCUが連携している国会議員とも共有し、政府調査を待たずして国会で議論がなされるように働きかけていく」(NCCU公式サイト)。
新たな処遇改善加算の創設や、補助金の交付を求めていくのだろうか。
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