2024/12/24
社員が友人を会社に引き入れる「リファラル採用」が注目を集めている。「referral(リファラル)」とは、紹介・推薦を意味する言葉で、いわゆる「コネ採用」が進化したものだが、優秀な人材を低コストで獲得できると好評だ。近年はスキルを持った中途だけでなく、新卒獲得にも取り入れられているという。なぜ、令和にいまさら「コネ採用」が支持を集めるのか気になり、転職者や導入企業に取材すると、人材獲得に苦心する企業の姿が見えてきた。
約3万6000人の社員を抱える富士通は2018年4月、中途人材を確保するため、リファラル採用を採用経路の一つとして導入した。全部署の求人を対象にしており、累計採用者数は昨年度、400人に達した。
「信頼できる知人の紹介だから転職しようと思った」。そう話す男性社員(37)も、今年10月にリファラル採用で同社に転職した1人。前職を定年まで勤めるつもりだったが、仕事を通じて知り合った知人から富士通への転職を誘われた。それまで中小企業に勤めていたという男性。「大手で通用するのか」と初めは不安もあったが、「気心の知れた知人から会社の話を包み隠さず聞けたことが安心材料になった」。
(時事通信 12月13日)
新卒採用にもリファラル採用が活用されている。リファラル採用の情報サイト「Refcome」に新卒リファラル採用の事例として、荏原製作所が紹介されている。同社には、専門性の高い若手人材の採用競争が激化して採用が難しくなっているうえに、学生への知名度があまり高くないという課題があった。
新卒リファラル採用の効果は「事前のリファラルに関するアンケート実施により、効率的に社内への制度周知ができた」「アンケートを通じて、社員から会社に対するリアルな声を聞くことができた」「新卒採用だけでなく、難しいと考えていた専門性の高い若手中途人材の採用もできた」にあったという。
リファラル採用には離職率の低下にも資するという効果もあるようだ。2008年の米国のデータだが、リクルートワークス研究所発表の「米国の従業員リファラル採用のしくみ」によると、入社1年未満の離職率は、求人求職サイトの 22.1%に対してリファラル採用はわずか 6.8%だった。入社1 年以上でも、リファラル採用者の離職率は5.2%で、求人求職サイト経由の14.9%をはるかに下回った。
リファラル採用では、採用に当たる社員はミスマッチの回避だけでなく、採用候補者との人間関係も重視するはずだ。定性的な情報も候補者に伝えたうえで、候補者の意向も踏まえて会社に適応できるかどうかを吟味しているのだろう。実際、就職先の紹介は紹介者の信用にも関わるので、右から左につなぐという単純な行為ではない。
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