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三菱UFJ銀、定年再雇用賃上げ 最大4割、シニア行員活用

三菱UFJ銀行が、60歳の定年退職後に再雇用した行員の給与を2025年度から最大で4割引き上げることが12日、分かった。
 人手不足感の高まりを受け、経験や技能を持つシニア行員を活用するため処遇を改善する。再雇用者が選べる勤務日数の上限も週4日から週5日に増やし、定年前の収入を維持できるようにする。  
来年4月以降に定年や再雇用契約の更新を迎える行員から順次、適用する。既に再雇用している行員は、約1000人が対象となる。
(時事通信 12月12日)

いまや60歳定年にともなう引退は少数派となった。厚生労働省の2023年「高年齢者雇用状況等報告」によると、過去1年間に60歳定年企業で定年を迎えた人のうち、じつに87.4%が再雇用された。一般に再雇用時の年収は定年前の60~70%程度に減額されるが、それでも大半の人が65歳までの再雇用を選んでいる。
三菱UFJ銀行の場合、再雇用時の年収が最大で1000万円という報道があるが、それだけの年収を得られれば、価値の高い働き方を実践するだろう。
企業も65歳までの雇用確保を強化し、同報告によると、65歳までの雇用確保措置は、定年制廃止が3.9%、定年引上げが26.9%、継続雇用制度(注・再雇用)の導入が69.2%だった。継続雇用制度の導入は大企業ほど多い傾向がみられる。人件費負担を抑制するには、定年引上げよりも年収を30~40%削減する継続雇用のほうがよいのだろうが、そもそも60歳定年という制度は有名無実になった。
 しかも変化を繰り返すIT企業を除けば、シニア層の経験は有益な財産である。その継承を踏まえて、人材不足も背景に、遠からず定年を70歳に引き上げる企業が増えるのではないだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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