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連続勤務、13日間まで 厚労省研究会が報告書案

 厚生労働省は10日、労働基準法などの見直しについて議論する「労働基準関係法制研究会」を開き、報告書の案を示した。法律上認められる連続勤務日数を13日までに制限することを明記した。
2024年度中に報告書をとりまとめ、労働政策審議会でも議論した上で早ければ26年の法改正を目指す。
現在の労基法は、企業が労働者に対して4週間のうち4日以上の法定休日を確保するよう定める。休日の取り方次第では最長48日間の連続勤務が可能になり、労使協定によってはさらに働かせることもできる。
 報告書案では「13日を超える連続勤務をさせてはならない」という規定を労基法に設けるように求めた。
 在宅勤務日に仕える新たなフレックスタイム制の導入や、会社員が副業をする際に労働時間を通算して割増賃金を支払う仕組みの廃止も盛りこんだ。
(日本経済新聞 12月11日)

 この日の労働基準関係法制研究会で、厚生労働省は「労災保険における精神障害の認定基準では、2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行ったことが心理的 負荷となる具体的出来事の一つとして示されている」「近年でも2週間以上 にわたって休日のない連続勤務を行ったことによる心理的負荷が具体的出来事の一つとして評価され、精神障害事案として労災保険の支給決定を行った事案が生じている」と報告した。
 連続勤務に13日という規定の追加を労働基準法に求めたことは必然で、反対意見が出るのだろうか。
 労働者の健康管理には連続勤務日数の制限だけでは足りない。勤務間インターバル制度の導入が不可欠である。
 厚労省は勤務間インターバル時間にも言及して①11 時間23を確保することを原則としつつ、制度の適用除外とする職種等の設定や、実際に 11 時間の勤務間インターバル時間が確保できなかった場合の代替措置を労使で決める②11 時間よりも短い時間としつつ、柔軟な対応についてはより絞ったものとする③規制の適用に経過措置を設け、全面的な施行までに一定の期間を設ける――という「考え方」を提示した。
 連続勤務日数の制限と勤務間インターバル制度の組み合わせは、労働者の健康管理に必須の方策である。法制化を待つまでもなく、先行事例の発表などを通じた普及促進を急ぎたい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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