2024/12/18
人手不足、物価高が叫ばれる中、官民共に急がれているのが給与アップなどの待遇改善だ。“初任給”を引き上げる動きは加速していて、2024年度は75.6%の民間企業で引き上げが行われ(「産労総合研究所」調査)、2025年度も自衛官で約4万円、国家公務員(大卒総合職)で約3万円の初任給アップが予定されている。若手の待遇改善が進む一方で、バブル崩壊後に就活に挑んだ40代〜50代前半の就職氷河期、いわゆる“ロスジェネ世代”では、今も非正規雇用や低賃金など、不安定な雇用状態でいる人が多いと言われている。
(中略)
若者への待遇が手厚くなる中で、氷河期世代への待遇改善が滞っている状況について、氷河期世代ユニオン代表の小島鐵也氏は「若い人たちは人口が少なく、今は売り手市場だから給料が上がるのは市場原理として仕方ない。しかし、40代、50代前半の氷河期世代が置き去りにされている感は否めない」と述べた。
氷河期世代ユニオンには、さまざまな相談が寄せられている。「非正規で長く働いて、なかなか就職ができないといった相談や、難関資格を目指しているが合格できず、無職期間が伸びて、普通に採用されることも難しくなるという相談が多い」とのことだ。
(ABEMA TIMES 12月7日)
団塊世代の全員が90歳以上に達する2040年は高齢化のピークで、医療介護費など社会保障財源の確保が取り沙汰されているが、もうひとつの2040年問題が潜んでいる。この年には氷河期世代の多くが公的年金の受給対象年齢を迎えるが、非正規雇用が長くつづき年金の納付に空白期間が長い人は、就労力が低下する年齢にもかかわらず年金収入も微々たる水準で、生活保護受給者が急増しかねない。
財源確保を目的に消費税増税がかまびすしく議論され、挙句の果てに高負担・中福祉という厳しい福祉政策に向かうのだろうか。
氷河期世代は多くの企業でリストラ対象世代である。正社員への転換を期待することは現実的ではなく、これからも非正規雇用を継続することになるだろう。10年近く前には正社員への転換によって収入を安定させ、結婚・出産する人を増やすという少子化対策のシナリオが議論されたが、すでに画餅に帰した。
たとえ基礎控除額の引き上げによって手取りが増えても、非正規雇用である限り、収入の不安定は免れ得ない。社会保障の考え方である「自助・共助・公助」が機能しなくなれば、おのずと社会不安は増大する。共生社会が幻想にすぎないことが明白でも、国はこの言葉を一層強く喧伝してゆくのではないだろうか。
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