2024/12/17
セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のイトーヨーカ堂は2026年2月期までに正社員約1000人を削減する。新たな早期希望退職は実施せず、退職に伴う自然減やグループ会社への配置転換などが中心となる。セブン&アイは、スーパーなどコンビニ以外の非中核事業の売却交渉を進めており、従業員を削減して収益改善を図る。
ヨーカ堂はこれまでも、人員削減を進めてきた。自社による衣料品の企画販売からの撤退や店舗の閉店などの発表に伴い、今年2月末までに45歳以上の正社員を対象に早期退職を募集した。700人規模が応募したとみられる。
ヨーカ堂は業績不振が続いており、24年2月期決算は259億円の最終赤字で、赤字は4期連続だった。
セブン&アイは、ヨーカ堂などのスーパー事業を束ねる中間持ち株会社の株式売却先の選定を進めている。11月下旬に締め切った1次入札には、住友商事や昨年9月にセブン&アイから「そごう・西武」を買収した米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループなどが興味を示しているとされる。
(毎日新聞 12月6日)
イトーヨーカ堂は1982年、のちに「業革」と呼ばれる「業務改革委員会」を発足させた。業革は全社員が参加する改善運動で、「死に筋商品の排除」「単品管理」「機会ロスの撲滅」を柱に据え、多くの小売企業が追随して経営改善に取り組んだ。
90年代前半、イトーヨーカ堂に取材したときに「イトーヨーカ堂やセブン・イレブンを題材にした書籍がたくさん出ているが、どの書籍が本質を突いているのか?」と広報担当者に尋ねたら「緒方さん(ジャーナリストの緒方知行氏)の本」と答えてきた。
緒方氏の著書「イトーヨーカ堂の「業革」〈パート2〉」には、業革7年の展開と生み出した成果、鈴木敏文副社長自らが語る企業構造改革の思想、衣料・住関連商品事業部門や食品事業部門における業革の考え方と展開、POSシステム)――などが詳述され、PR色の強い企業モノと違い、異業種の経営にもおおいに役立つ内容ではないかという感想を抱いたものだ。
あの時代、イトーヨーカ堂グループは圧倒的な勝ち組だった。強みは変化対応力にあったので、産業構造がどう変化しようとも業態を進化させて、超優良企業グループの地位は揺らがないと見られていたが、いまや四分五裂におちいった。
今後の流通業はAGI(汎用人工知能)やASI(人工超知能)がコントロールするビジネスに変化するのだろが、具体化すれば勝ち組企業が入れ替わる。乗り遅れた企業では大規模なリストラを行なわざるを得ない。
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