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2024年の冬のボーナス、企業の23.0%で支給額「増加」

国内景気の行方を左右する個人消費の動向。2024年の春闘では、大企業において満額回答が相次いだものの、中小企業の賃上げは見劣りする一面もあった。物価の上昇スピードに賃上げが十分に追いつかない状況は、家計の節約志向が高まる背景となっている。2025年の景気回復につながる年末商戦における冬のボーナスへの注目度は一段と高まってきた。   
こうした背景を受けて、帝国データバンクは2024年冬季賞与の動向について調査を実施した。なお、冬季賞与の動向に関する調査は2020年以降毎年実施し、今回は5回目。
2024年の冬季賞与(ボーナス、一時金、寸志など含む)の従業員1人当たり平均支給額をみると、「賞与はあり、増加する(した)」企業は23.0%であった。前年(24.1%)から1.1ポイントの微減となった。一方で、「賞与はない」企業は12.8%だった。特に「繊維・繊維製品・服飾品小売」は47.7%と突出して高く、ほぼ半数の企業が賞与を支給しない状況となっている。
(帝国データバンク 12月6日)

ボーナスの水準には格差が顕著である。大手企業、中小企業、公務員などに分けないと実態が見えてこない。
大手企業については、労務行政研究所によると、東証プライム上場企業の2024年冬のボーナスの妥結水準は、前年同期比3.4%増の83万5133円。製造業86万7759円、非製造業71万641円と約15万円の開きがあった。
公務員については、国家公務員の管理職を除く行政職職員の平均支給額が、前年比約2約3.2)減の約65万2800円だった。前年比で減少したのは人事院勧告に基づく給与法改正案が成立していないためで、成立すれば前年冬から約7.1%増の約72万2000円となる。支給額との差額は後日支給される。
国家公務員のボーナス支給額は大手企業の非製造業と同等だから結構な水準である。
一方、中小企業のボーナス水準は、大手企業と国家公務員に比べて格段に下がる。調査を実施したのは、中小企業と会計事務所向けのクラウド型業務システムを提供する
フリーウェイジャパンで、対象は中小零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主223人。
24年9月に実施した調査だが、冬のボーナスについて「支給予定あり/支給済み」(34.2%)、「支給予定なし」(30.3%)、「ボーナス制度がない」(28.9%)、「未定」(6.6%)だった。支給額の多寡以前に、支給される企業が3割に過ぎないのである。
支給額の平均は51.2万円で、支給幅は多い順に「10万円~20万円未満」(23.1%)、「30万円~40万円未満」(15.4%)、「50万円~60万円未満」(12.8%)。中小企業は賃上げ余力が乏しいことから、来年以降のボーナス支給額は、大手企業と国家公務員に対してさらに格差が開くのではないだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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