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連合、賃上げ中小6%以上要求へ 25年春闘、格差是正で上乗せ

連合は28日、千葉県浦安市で中央委員会を開催し、2025年春闘で「5%以上」、中小企業の労働組合は「6%以上」の賃上げを求める闘争方針を正式決定した。今年の春闘では高水準の賃上げを達成しているが、中小労組との格差が拡大しているとして、是正のための上乗せを要求する。  
芳野友子会長はあいさつで「全員そろって豊かにならないと国は決して繁栄しないということを、労働組合だからこそ肝に銘じなければならない」と述べ、海外と比べ賃金上昇ができていない現状を指摘。「(25年春闘の)肝は賃金も経済も物価も安定した巡航軌道に乗せること。連合一丸となって取り組んでいく決意と心合わせをお願いしたい」と呼びかけた。  
闘争方針では、基本給を一律に底上げするベースアップ(ベア)を3%以上とし、定期昇給分と合わせて5%以上の賃上げを要求する。中小労組は「格差是正分」として1%を上乗せする。また、賃上げ原資を確保するため、コスト上昇分の価格転嫁や適正な取引の推進も盛り込む。
(共同通信 11月28日)

連合は、5%以上の賃上げを中小企業や労働組合のない企業へも広げ、人への投資を起点とした好循環の起動を主張している。「人への投資」→「能力・意欲の向上と所得増」→「適切な価格転嫁・消費拡大」→「企業の利益向上」という循環である。
政府に対しては、賃上げの基盤歳暮として①労務費転嫁指針の周知徹底と公的分野も含む適切な価格転嫁・適正取引の促進②パートナーシップ構築宣言の実効性とインセンティブ付与、賃上げした中小企業 への支援策の強化③賃上げ率の低い業種(運輸、宿泊、飲食サービス、医療、介護、福祉など)での 政策対応の強化④賃上げと適正な価格転嫁の機運を醸成する地方版政労使会議の効果的な実施⑤物価や賃金が継続的に上昇する新たな時代に対応した下請法等の改正――などを要望した。
価格転嫁が進まない業界に対しては、個別企業の自主的な取り組みに委ねていては、なかなか事態は是正されない。コストダウンはどの企業でも重点政策のひとつだ。本来は好ましくないが、ときに行政の介入も必要ではないだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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