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配属ガチャ不安を解消、最初の職場を確約の動き

大手企業で、新入社員の最初の配属先を「確約」する動きが広がっている。職種や勤務地がどこになるか分からない「配属ガチャ」への不安を和らげ、内定辞退や早期の離職を防ぐのが狙いだ。ただ、学生側の希望をかなえるには、人事戦略の見直しが必要となるケースもあり、導入に躊躇(ちゅうちょ)する企業も少なくない。
 「皆さんの初期配属への思いや挑戦を応援します」。10月1日、東京・新宿の損害保険ジャパン本社で開かれた内定式。集まった約300人の内定者に向け、新たな人事制度が発表された。
 同社が導入したのは、新入社員が希望の部署に応募できる「新卒ジョブ・チャレンジ制度」だ。営業や商品開発など約30の職種から希望を選び、書類や面接による選考を通れば、配属先が確約される仕組みだ。
 応募しても希望が必ずかなうとは限らないが、人事部採用グループの天利友香さんは「自分の強みやスキルを生かせる制度。内定後に改めて自分のキャリアについて考えるきっかけになれば」と話す。内定式に参加した早稲田大4年生(22)は「望むキャリアを実現できるチャンス。応募してみたい」と活用に前向きだ。
(読売新聞オンライン 11月17日)

 そもそも新卒入社の時点では、何が適性かは未知数と考えたほうがよい。希望していない部署に配属されても、何かしらの成果を重ねていけば、その部署が適性を見出して専門スキルを磨こうという意識に切り替わることは珍しくない。上司や先輩に恵まれれば、なお道は開けやすい。
 しかし配属の希望が通るのなら、それに越したことはない。マイナビが2024年の新卒入社を対象に実施した調査によると、配属ガチャについて「まずは配属されたところでできる限り頑張ることが大切」「幅広い分野を経験できるのでメリットが大きい」という意見が出た。「配属ガチャを回避するために、勤務地や職種が決まっている企業のみを受けた」という回答者も複数いた。
 その一方で、やはり「希望が叶わなかった場合、転職に影響する」「心的に負担がかかる可能性がある」などの意見も出た。
 配属先は勤務地・配属先ともに希望通りだった人の合計は59.9%だったので、企業も配属の希望を受け入れる流れにある。就社から就職へと移行しているわけではないが、希望の受け入れは内定者確保や離職防止の要件となった。
ただ、新卒入社は就職ではなく就社が前提なので、配属先・配属地の希望の偏りを調整しなければならないような事態には至らないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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