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14日以上の連続勤務を禁止へ 労基法改正で上限導入 厚労省が検討

労働者の連続勤務日数について厚生労働省は、労働基準法を改正して14日以上の連続勤務を禁止する検討に入った。労働者の健康を確保するため、最長で48日間の連続勤務が可能になるといった現行制度を見直す。
上限規制の導入は、厚労省の有識者研究会が年度内にまとめる予定の報告書に盛り込まれる見通しだ。その上で厚労省は労働政策審議会で労使による議論をし、2026年にも法改正を目指す。  
現行の労基法は、使用者は労働者に少なくとも週1回の休日を与えることを原則としつつ、4週間を通じて4日以上の休日を与えれば足りるとしている。この「4週4休制」では、4週間の最初の4日と、次の4週間の最後の4日を休日にした場合、間に挟まれる48日間を連続勤務させることが可能だ。さらに、労使協定(36協定)を結べば休日労働も命じられ、制度上は上限なく連続勤務をさせられる。
(朝日新聞デジタル 11月10日)

 連続勤務の見直しに加えて、勤務間インターバル制度の普及が焦眉の急である。この制度は、当日の終業時間から翌日の始業時間まで一定以上の時間を設け、睡眠と休息を取れる環境を整えて心身の健康維持を促すことが目的だ。
 勤務間インターバル制度を導入した建設会社の場合、建設業界は労働災害リスクが高く、睡眠不足による集中力低下が労働災害につながりやすいので、しっかりとした睡眠時間の確保が大事と考えたことが動機だった。同社の労務管理担当者は経緯をこう説明する。
「導入に当たっては社員の納得性がポイントだと思っている。当社の勤務間インターバル時間は11時間だが、社員の通勤時間を調べて平均時間を算出し、睡眠を6時間以上確保したうえで適切な食事時間や家族と過ごす時間も計算して、11時間の理由を社員に説明した」
 勤務間インターバル制度の導入が書かれた労働時間等設定改善法には、労使の自主的な取り組みが提言されている。中小企業には労働組合のない企業が多いが、制度導入を指導するコンサルタントは「労使の話し合いで取り組むことがベストで、我が社の働き方はどうあるべきなのか、と制度導入の目的をしっかりと話し合うことが出発点」と指摘する。
中小企業に対しては厚生労働省が助成制度を設け、成果目標の達成状況に応じて、取り組みの実施に要した経費の一部を50~120万円支給している。EUは「労働者は職場での健康と安全について保護を受ける権利を有する」という趣旨を述べているが、連続勤務も勤務間インターバル制度も、行き着く先は組織風土の改善である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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