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東北新社、希望退職100名募集に124名応募

 東北新社は 2024 年 8 月 30 日に希望退職者の募集を実施することを発表した。対象は
45 歳以上のグループ正社員・定年再雇用社員・無期契約社員 および5 年を超える契約社員。 募集人数 100 名程度で、 募集期間は24 年9 月30 日から24 年10 月25 日まで。
募集の結果、応募者数は124 名となった。希望退職者募集に伴い発生する特別加算金と再就職支援に関わる費用等を約21 億円と見込んでおり、25 年3 月 期第3 四半期の連結決算で特別損失として計上する予定。 なお「政策保有株式の売却に伴う特別利益の計上見込みに関するお知らせ」の通り ほぼ同額の特別利益を計上する見込みで、現時点では期初の事業計画の通り推移していることから、25 年3月期の業績予想に変更はない。
当社は、中期経営計画を推進し、「構造改革」として事業の環境に合わせた組織・人員の再編成や人事・評価制度の見直しの実施、「新たな収益基盤の確保」として周辺領域への投資の検討、「財務・資本戦略」として政策保有株 式の売却の実施を行い、概ね計画通りに進捗している。
(東北新社作成IRを要約 11月9日)

 
 東北新社で希望退職者100名の募集に対して124名が応募した。これは一般論だが、応募が募集を上回った場合、それだけ社員が会社に見切りとつけたみることができる。 東北新社の経営環境はどんな状況なのだろうか。
同社の発表によると、テレビCMやテレビ番組の視聴時間・政策需要が縮小傾向にあるうえに、衛星放送はネット配信サービスなどと競合して需要が縮小している。この環境にあって、組織と人員が硬直化し、さらに制作では設備と資産を多く抱え、固定費負担が大きい。
 そこで①事業別の資産と人員の適正化による各事業の利益創出力の向上②組織と人材の再活性化を課題に掲げ、希望退職を実施したのである。
情報サイト「求人ボックス給与ナビ」によると、同社の平均年収は600万円(平均年齢41.3歳)で、「メディア業」グループ(全130社)における順位は63位。メディア業のなかでは平均的な水準だ。かつては40歳を過ぎた転職はスカウトでない限り、多くは年収ダウンが必至だったが、いまは専門能力や管理能力で実績を築けば、転職による年収アップは珍しくなった。
 124名のなかにも年収アップの転職先を確保して、迷わず希望退職に応募した人がいるかもしれない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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