Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

女性役員育成へ会員組織 パソナ、3000人めざす

 パソナグループ傘下のパソナJOB HUB(東京・港)は企業の女性役員候補者を育成する取り組みを始めた。役員や役員候補者が情報交換できる会員組織を発足。キャリア形成に不安や孤立感を抱える女性の役員候補者に手本となるロールモデルや社外メンターを紹介していく。
「Board Diversity Forum(ボード・ダイバーシティー・フォーラム)」を立ち上げた。企業の役員と課長職相当以上で役員を目指す人が登録できる。会員数は2028年までに3000人を目指す。男性役員の参加も募り、取締役会の多様性を促進する契機としてもらう。
 女性役員や役員候補者が企業の垣根を越えて、キャリア構築や経営課題の情報交換や人脈形成ができる場を提供する。経営課題もグループで討論する。外部講師による投資家向け広報(IR)や新規事業開発などを学ぶセミナーも定期的に開催する。
 女性役員が役員を目指す他社の女性の相談にのる社外メンター制度も運営する。会員組織への登録は無料だが、メンター制度の利用は有料化を検討する。
(日本経済新聞 11月8日)

日本総研が東証プライムおよびスタンダード市場の役員を調査したところ、役員3万3452人のうち女性役員は4350人、女性比率は13.0%だった。うち、プライム市場の女性役員は3,037人(16.4%)、スタンダード市場の女性役員は1313人(8.8%)だった。
政府目標は、プライム市場上場企業の女性役員の比率を2030年までに30%以上にすること。向こう6年で目標を達成できるのか。日本総研によると、両市場とも育成・キャリア形成に時間を要する社内役員よりも、外部労働市場から招聘してくる社外役員から女性役員の任用が進んでいるという。
女性役員の登用は目標を固めないとなかなか進まないだろうが、数合わせに傾くと趣旨がズレてしまう。
さる11月8日に開かれた全世代型社会保障構築本部(本部長・石破茂首相)で、女性を取り巻く雇用環境について「近年では、女性の就業率のM字カーブの底は浅くなっているものの、正規雇用率のL字カーブがみられる」と指摘したうえで「目指すべき方向性」として 社会保障制度の支え手を増やすため女性や高齢者の就労促進が提言された。
女性役員予備軍の母数を拡大する環境整備が進むことを期待したい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。