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西松建設、大卒初任給30万円 24年問題で10%超賃上げ

西松建設は2025年4月に入社する総合職の大卒初任給を3万5000円引き上げ、前年度比約13%高い30万円とする。増額は3年連続。4月から基本給を一律に上げるベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)で平均10%超の賃上げを実施する会社方針も決めた。24年4月から設けられた残業時間の上限規制を受け、深刻化する人手不足の緩和を狙う。
西松建設は24年4月入社の採用実績が目標より2割少ない100人にとどまった。足元では工事を管理する現場監督の人手不足が特に深刻で、キャリア採用や技術者派遣の利用を進めているものの「逼迫状況にある」(同社)という。
鹿島や大林組などは24年4月の大卒初任給を28万円としている。大手各社による初任給増額を見据え、引き上げ幅を24年度の2万円から増やす。24年4月に30万円とした長谷工コーポレーションと並ぶ水準で、「同業他社と比較する際に給与水準でふるい落とされるのを避ける」(西松建設)狙いだ。
西松建設は建設に加え、不動産開発や再生可能エネルギーへの事業拡大を進める。25年4月の採用実績は約120人で、26年4月入社の採用目標は上積みを予定する。
(日本経済新聞 10月25日)

先の衆議院議員選挙で、国民民主党は玉木雄一郎代表の「手取りを増やす」というメッセージが多くの若年層に響いたようで、大きく議席を伸ばした。このタイミングで来春の賃上げ実施のニュースが相次いでいる。
西松建設が来春の初任給を30万円に設定したが、それ以外にも、従業員持株会を通じた社員向け株式交付制度を導入した。この制度は創業 150 周年記念事業として導入し、社員一人ひとりのオーナーシップ意識を醸成するという。
 株式交付の対象は、持株会に加入資格のある社員のうち、会社が定める期限までに持株会の会員となる社員。会社から株式付与のための金として「本特別奨励金」が支給される。
対象社員は特別奨励金を持株会に対して臨時拠出し、持株会が対象社員から臨時拠出された特別奨励金を原資として同社普通株式を市場買付で取得して、 対象社員は持株会を通じて同社普通株式の付与を受ける。
 付与時期は2024 年 11 月以降の予定。付与株式数は一人当たり一律 15万円に相当する株式数である。
 建設業界は採用難がつづいている業界のひとつだが、賃上げと労働時間短縮に加えて株式の付与という新たな処遇改善策が登場した。社員の離職防止にも寄与するだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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