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就活生が初任地選べる「確約コース」、三井住友海上が新設

三井住友海上火災保険は2026年入社の新卒採用から、学生が初任地を選べる「配属地確約コース」を新設する。入社後の配属先が会社主導で決まり、どこになるか分からないことを「配属ガチャ」と呼んで不安視する学生が増えているため、初任地の決定を巡る不透明さを減らし、早期離職を防ぐ狙いがある。
 初任地を限定しない「オープン」と、自身で選べる「配属地確約」の2コースに分けて採用する。志望者は配属地の希望を三つまで選び、エントリーできる。都道府県別の内定予想倍率を採用ページで示し、参考にしてもらう。
 就職活動を手厚く支援するため、各都道府県に「採用推進担当者」を配置し、学生の支店訪問などをサポートする。
 三井住友海上は全国に支店など約500の拠点を抱え、初任地では平均4年前後を過ごす。学生数の減少で人材獲得競争が激しくなる中、初任地への不満をきっかけとした離職を防ぎ、人材の確保と定着を図る。
(読売新聞オンライン 10月24日)

地方拠点への異動は出世コースに組み込まれている中核拠点への異動を除けば「地方へ飛ばす」といわれたように、かつては左遷とみなされることが多かった。流通業界で地域限定社員制度の導入がはじまった頃は、地域限定社員には昇進昇格の制約が設けられる例もあり、その選択にはいわばドロップアウトに近いイメージもあった。
だが、いまや転勤が人材確保のハードルになる時代である。新卒社員にも勤務先に希望を募る企業も現われた。日本経済新聞とフジテレビの報道によると、三井住友信託銀行が、社員が転勤を希望するかどうか半年ごとに確認する制度を、2025年秋にも導入するという。
 すでに同行は新卒行員に対して転勤の有無を選択できるコースを設けている。全業務を対象に「Gコース(全国転勤型)」と「Aコース(地域限定型)」の2つのコースから選択が可能で、Aコース(地域限定型)の社員は居住地から105分圏内での支店で勤務する。
入社後のコース転換も可能だ。
 こうした転勤の有無を社員が選択できる制度が普及すると、組織形態は中央集中型から分散型へと移行してゆく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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