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スシロー運営会社、今10月より平均6%の給与引き上げ

回転寿司チェーン「スシロー」などを運営するFOOD & LIFE COMPANIES(大阪府吹田市)は、2024年10月1日からの給与制度改定により、国内グループの全正社員約2900人を対象に平均6%の給与引き上げを実施した。また、新卒初任給の引き上げも実施した。
 近年の物価上昇により、国民の生活に対する不安が増す中、F&LCは社員が安心して生き生きと働ける環境でこそ、新しい価値を生み出すことができると考えている。
加えて、日本の労働人口減少が確実な中、10年先、20年先も企業理念のVISIONである「変えよう、毎日の美味しさを。広めよう、世界に喜びを。」を実現し、成長を続けていくためには、多様な人財が活躍できる組織づくりが重要であると考えている。
人財競争力を高めるため、今回給与の引き上げを決定した。
(FOOD & LIFE COMPANIES作成ニュースリリースを要約 10月24日)

スシローの賃金水準は外食業界のなかでは比較的高い。運送会社あきんどスシローのコーポレートサイトで確認すると、全社員の平均年収が537万円で、店長は621万円である。  
年収例として、884万円/課長(2店舗以上の管理者)39歳(月給55万6,000円+賞与年2回)=884万円、店長 34歳(月給39万8,000円+賞与年2回)=621万円、副店長 29歳(月給32万6,000円+賞与2回)=470万円。この水準に平均6%の給与引き上げが実施される。
 回転寿司の市況も好調だ。富士経済の調査によると、国内の回転寿司の市場規模は2023年に前年比8・0%増の7829億円、24年見込みは5・5%増の8261億円である。市場拡大の要因について、富士経済は次のように分析している。
<2023年はSNS上での迷惑動画拡散と価格改定によりユーザーの離反が懸念されたが、価格改定と同時に実施されたメニュー施策やPR強化により、客数の回復が進んだことから、市場が拡大した。2024年は、商品提供時のレーンやデジタルビジョン使用、メニュー自体の品質を武器に他チェーンとの差別化を図る動きもみられ、引き続き市場が拡大するとみられる>
 外食企業は自社メニューの値上げを実施しているだけに、社員の賃上げ幅がどのぐらい必要かを的確に把握しているのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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