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転職仲介、AIで手軽に パーソルは最適キャリア提案

転職仲介サービスで人工知能(AI)の活用が進んでいる。パーソルホールディングス傘下のパーソルキャリア(東京・港)は登録者へのキャリア提案に活用する。人材サービス会社が求人と求職者を仲介する「人材紹介」で省力化を進めることで、多様化する求職者の転職ニーズを効率的につかみ取る。
パーソルキャリアは転職サービス「doda(デューダ)」でAIが最適なキャリアを提案する機能を導入する。登録者の職務経歴や希望条件とデューダでの転職例をAIが分析する。AIの分析はキャリアアドバイザーが登録者へ求人を紹介する参考にする。2026年3月期中に試験運用を始め本格導入を目指す。
求人を出す企業に条件に見合う候補者を紹介する場合、人材サービス会社の担当者が求職者の職務経歴や希望条件を詳しく聞き取ることから始まる。
デューダでも登録者はキャリアアドバイザーとの面談を希望できるが、転職希望者が求めるキャリアや働き方の多様化で「一人ひとりと向き合うことに限界がきており、全ての申し込みに対応できていない状態」(同社)という。
(日本経済新聞 10月21日)

キャリアアドバイザーの業域が大きく狭まってしまうが、登録者のスキルや人物像の把握、転職候補先とのマッチングなどを見極める作業をAIに代行させたほうがミスマッチを減らせるだろう。キャリアアドバイザーの真骨頂ともいえる目利きを手放すのだが、目利きは主観に基づくためにハズレも少なくない。
実績の豊富なキャリアアドバイザーのかなにも「自分が経験した業種や職種なら目利きに自信があるが、未経験の領域については目利きができず、一般的な評価になりがちだ」と話す人がいる。AIは業務効率化だけでなく精度の向上にも資する。AIが普及すれば職を失うキャリアアドバイザーも出るだろうが、AI普及の流れが逆戻りすることはない。
当然、目利きは豊富な経験をベースに培われる。勘も重要だが、勘も経験を積むことで磨かれる。
銀行が融資を判断するさいの目利きも同様で、東京都信用保証協会の元幹部は「経営者の人物と事業の将来性を見て、融資の実行を判断する匠の技を習得するには10年はかかる」と教えてくれた。審査をAIが代行すれば、いわば10年の蓄積が無になりかねないが、もはや抗いようがない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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