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春闘賃上げ、中小「6%以上」要求 大手と格差是正へ、連合が方針

 来年の春闘の賃上げ目標について、労働組合の中央組織・連合は16日、中小企業向けの要求水準を「6%以上」とする方針を固めた。物価上昇が鈍化するなか、大手を含む全体の賃上げ目標は「5%以上」とした今年の目標を据え置く方向だ。中小向けはより高い目標を掲げることで、大手との格差是正を進める狙い。18日に発表する。
 中小向けに全体より高い賃上げ目標を掲げるのは、2014年以来11年ぶり。  
関係者によると、大手と中小の格差是正分を「1%以上」と設定した。目標の「6%以上」は金額で1万8千円以上にあたるという。来春闘の闘争方針のもととなる基本構想の素案では、「賃上げと価格転嫁・適正取引における格差の解消をめざし、とりわけ中小組合については格差是正分を積極的に要求する」とした。中小の賃金を大幅に引き上げることで、全体の底上げにつなげたい考えだ。
(朝日新聞デジタル 10月16日)

石破茂首相は所信表明演説で賃上げの取り組みに言及した。
「賃上げと人手不足緩和の好循環に向けて、一人一人の生産性を上げ、付加価値を上げ、所得を上げ、物価上昇を上回る賃金の増加を実現してまいります。適切な価格転嫁と生産性向上支援により最低賃金を着実に引き上げ、2020年代に全国平均1500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けます」
 中小企業の賃上げも取り上げ、「中小企業を中心とする高付加価値化」「中堅・中小企業の賃上げ環境整備」という発言をした。
当面の課題は価格転嫁である。「骨太方針2024」は、価格転嫁対策を強化するため、独占禁止法・下請法を執行強化、下請法改正の検討を挙げた。「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」も周知徹底させる方針だ。
この指針には発注者に対して①労務費の上昇分について取引価格への転嫁を受け入れる取組方針を具体的に経営トップまで上げて決定すること、②経営トップが同方針又はその要旨などを書面等の形に残る方法で社内外に示すこと、③その後の取組状況を定期的に経営トップに報告し、必要に応じ、経営トップが更なる対応方針を示すこと――と示されている。指針が周知されても、価格転嫁を実施しないとサプライチェーンに支障が生じて実害を被る事態にまで至らないと、価格転嫁は進まないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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