2024/10/22
賃金の上昇が40~50代でも鮮明になってきた。2000年前後に社会人となった「氷河期世代」が就職活動していた時期は採用を絞っていた企業が多く、管理職などの人手不足が背景にある。スタートアップは「ミドル」の経験や専門知識を評価し、積極採用に動いている。
特に賃金上昇が目立つのは転職市場だ。これまで転職者数は20~30代が多く、人材獲得競争から若手は転職時の賃金が上がりやすかった。足元では40~50代にも広がっている。厚生労働省の雇用動向調査によると、2023年はフルタイムの転職者のうち40代の24・9%、50歳以上の14・5%が「賃金が1割以上上昇」した。この5年でともに3~4ポイント上昇し、30代の1・6ポイントを上回った。
不動産業界で経理部長を務めていた57歳男性は人材サービス大手エン・ジャパンのサービスを利用して、同じ業界内で転職を決めた。「役職定年により、年収が半減したことがきっかけ」といい、転職後の年収は200万円上がった。
(日本経済新聞 10月12日)
その昔、転職時の採用面接で給与の希望額を聞かれた場合、転職先が前職と同規模ならば現状維持、大手企業から中小企業への転職では前職の8割程度と答えるのが通例だった。外資系企業のなかには前職を顕著に上回る金額を希望しないと「自分に自信がない」と評価されて不採用になる例もあったそうだが、一般に、40~50代の転職で給与ダウンは必至だった。
給与が下がるのは承知のうえで職場を変えたいと思って転職に踏み切ったので、たとえ役職が上がっても、40~50代の転職はいわばキャリアダウンだった。とくに大手企業から中小企業への転職はドロップアウトとすら見なされた。
だが、今は40~50代で転職しても給与がアップするケースがある。マイナビが2023年の1年間で転職した50代正社員171人について、転職前後の年収変化を調べたところ、「年収は変わらない」がもっとも多く32.7%、次いで「年収は上がった」が32.2%となった。「年収は下がった」は26.9%だった。
それでも、すべての年代のうち、50代が唯一転職後の平均額が転職前よりも少なくなったという。給与が下がるという傾向は変わらないようだ。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。