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中小の後継者難、大手行が承継支援 取引拡大狙う

大手銀行が次世代に事業や資産を引き継ぐ「承継ビジネス」を通じて取引の幅を広げようとしている。みずほフィナンシャルグループ(FG)は事業承継のニーズのある約1万6000社を積極支援できるよう体制を整えた。有用な技術を持つ中堅・中小企業が後継者難で倒産するのを防ぐ。
みずほFGは事業承継を重点領域に位置付けている。傘下のみずほ銀行の全取引先のうち事業承継の可能性のある企業が上場・非上場あわせて1万6000社あるとみて、支援に乗り出した。
特に力を入れるのがオーナー企業の経営者らだ。法人と個人の両方からアプローチしやすいことが背景にある。
相続や資産運用、株式の承継、不動産の見直し、M&A(合併・買収)、MBO(経営陣が参加する買収)ファイナンスなど幅広い取引につながる可能性がある。
みずほFGは顧客の同意を前提にグループの信託銀行や証券会社との連携を強め、それぞれの機能を生かした多面的な提案に力を入れる。
 銀行と信託は計100人規模のコンサルティング部隊を持ち、財務・法務・会計の豊富なノウハウや知見がある。
(日本経済新聞 10月8日)

 事業承継問題が起きるのは、おもに社長が高齢を迎えるまでに承継の手を打っていなかったからである。社長が後任者にバトンタッチを実行するタイミングは会社の状況にもよるが、年齢を目安にタイミングを設定するのが現実的ではないのか。
 事業承継をサポートする立場の税理士事務所は、所長が高齢化して後継者が不在の場合、他の税理士事務所との合併や事業譲渡を選ぶケースが増えてきた。タイミングとしては所長が60歳を迎えるか、65歳を迎えるか、70歳を迎えるか、そのいずれかが多いというが、事業承継のサポートを通じて、遅くとも60代のうちに目途をつけておく必要があると認識して、みずからも実践しているのだろう。
「中小企業白書2024」によると経営者年齢は平均60.5歳で、過去最高を更新した。平均年齢が定年退職の年齢であることは由々しき事態だ。中小企業庁の分析では、事業承継時の経営者年齢が若い企業ほど事業再構築に取り組む傾向にある。
事業承継を存続策ではなく成長戦略に切り替えるために、金融機関が先手を打ってサポートしたらどうだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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