2024/10/16
2024年1-9月に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年同期30社)
で、前年同期の1.5倍に達し、すでに2023年年間(1-12月)の41社を超えた。対象人
員も、8,204人(同2,066人)と前年同期の約4倍と大幅に増加、上場企業の「早期退職」
の募集が加速している。
金利上昇や為替の乱高下など、経営環境が不透明さを増すなか、業績好調な企業は構造改革を急ぐ一方、業績不振の企業は事業撤退などに着手し、2021年以来、3年ぶりに年間1万人を超える可能性が出てきた。
上場区分は、東証プライムが32社(構成比69.5%)と約7割を占めた。また、黒字企業が27社(同58.7%)と約6割を占め、業績好調な企業が構造改革に伴い人員削減を急ぐケースも目立つ。
直近ではリコー(募集人数1,000人)が大型の希望退職を実施し、構造改革に伴う固定費削減を目指している。また、2023年は1社(ピクセラ)だった複数回の募集実施が、2024年は9月30日までに3社(東北新社、ワコールホールディングス、ソニーグループ)に増加している。特に、東北新社は9月に今年3度目の希望退職者の募集を発表している。
(東京商工リサーチ 10月7日)
もう退職して久しいが、メガバンクの支店長を経て人事部幹部に昇進した知人は、人事部で早期退職の実施を統括していたが、目標人数の退職手続きを済ませたのち、自身も早期退職を選んだ。上司から退職を促されたのか。そう問うと、そうではないという。
「早期退職の人数を計算して、各部門に目標人数を伝えて、多くの行員を希望退職させた挙句、これを統括した自分が銀行に残ることを道義的に疑問に思った。自分の雇用だけ確保するのはいかがなものかと。ひと通り作業が済んだら自分も辞表を出すつもりだったので、迷わず早期退職をした」
似たような話は日系企業の間でよく耳にしてきたが、黒字リストラも含めて、これだけリストラが普及してくると、人事担当者が自身の身の処し方に苦悩することも少なくなるだろう。
一方、昨今は退職者が再入社するケースが増えているが、早期退職をした元社員は再入社するだろか。早期退職にはみずから見切りをつける場合もあれば、会社側に促される場合もあるが、いずれも復職したいと思わないのではないだろうか。もっとも、会社側も早期退職者をふたたび迎え入れることは避けたいはずで、新天地で活躍してもらい、「〇〇会社の出身者は有能」という評価を得ることを望んでいると思う。
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