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各社で内定式、企業の半数は募集続ける…背景に深刻な人手不足

2025年春に卒業・入社予定の大学生らの採用内定が1日に解禁され、各地の企業が内定式を行った。深刻な人手不足を背景に、採用計画を満たせず、内定解禁後も募集を続ける企業が多い。
 りそなグループは、東京と大阪で内定式を開き、計約950人が出席した。早稲田大の学生(22)は「大学で学んだことを生かし、お客様の問題を解決できる銀行員を目指す」と意気込んだ。
 就職情報会社マイナビによると、8月末時点の内定率は9割近くに上る。人手不足による採用意欲の高まりから、早期に内定を出す企業が多くなっている。一方、採用計画に対する充足率が8割以上に達する企業は2割に満たず、全く満たしていないとの企業が3割を超えている。内定解禁後も募集を続けるとする企業は半数を超えている。
(読売新聞オンライン 10月1日)

 人手不足がつづくなかで内定者に辞退されたら、人事担当者の奮闘は水泡に帰してします。入社3年以内に3割程度が辞めてしまうことを前提に、目標数を確保しなければならない。
 それだけに内定者のフォローに腐心し、入社意欲を喚起することはいわば採用の生命線だが、内定者が入社意欲を高める場面は何だろうか。
キャリタスの調査(対象2123名)によると、「内定者懇親会(対面)」と「社員を交えた懇親会(対面)」の2つは、参加した学生の6割以上が、入社意欲が高まったと回答している。ともにオンラインでの実施に比べて内定意欲が高くなり、対面のほうが入社意欲の醸成に効果的という結果が出た。
社内や施設などの見学会」はオ ンラインを含めても経験者は2割程度にとどまるが、入社意欲が高まった割合は44.9%と高い。
内定者の声も確認しておこう。キャリタスの調査では「内定式で、人事部長から『あなた達が今後の会社を作っていく』という話を聞いたとき、がんばっていこうと思った」(理系女子)「懇親会で現場職員の意見を生で聞けたため、実際に働くことへの意欲が高まった」(理系男子)「同じ職種の先輩社員と話す機会があり、残業や部署の雰囲気などについて聞くことができて、入社への不安が少なくなり、入社意欲が高まった」(文系男子)
 やはり現場とつなぐことが、内定者を引き寄せるポイントである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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