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三井物産、DX人材4倍に 2025年度中に1000人規模

三井物産は2025年度中に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の知識を持ち業務に活用した実績のある人材を、現在の約4倍の1000人まで増やす。独自の研修制度と外部教材を組み合わせ、全ての事業と業務にDXの視点を盛り込みたい考えだ。
対象は日本の本社や海外支店の約8000人。すでに生成AI(人工知能)やデータを可視化するためのツール「Power(パワー)BI」などの基礎知識を学ぶ研修を必須にした。実際にDXの知識を、業務の効率化や事業の創出につなげた社員などを「DX人材」とみなす。
同社のDX人材は23年度末時点で約230人いる。これまでに貨物船の運航の最適化や人流分析といった事業の立ち上げに貢献してきたという。
DX人材の育成では、情報処理の国家資格「ITパスポート」の取得を認める企業も多い。三井物産は独自プログラムの研修に加え、社員の自発的な実践を重視する。部署別のDX人材の数は、社内イントラネットで見える化している。
(日本経済新聞 9月21日)

DX人材とIT人材は混同されがちだが、2つの職能は異質である。DX人材に求められるのはITスキルだけではない。
経済産業省の「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024」は、DX推進に必要な人材・スキルについて「生成AIの活用で知識や技術が補填されるため、より創造性の高い役割としてリーダーシップや批判的思考などパーソナルスキルやビジネス・デザインスキルが重要」と指摘した。
DX推進人材に求められるのは「問いを立てる力」「仮説を立て・検証する力」「評価する・選択する力」という。
職種ごとに求められるスキルは、ビジネスアーキテクトが「選択肢から適切なものを判断する選択・評価する力」、デザイナーが「独自視点の問題解決能力、顧客体験を追求する姿勢」、データサイエンティストは「利活用スキル(使う、作る、企画)、背景理解・対応スキル(技術的理解、技術・倫理・推進の各課題対応)」、ソフトウェアエンジニアは「AIスキル(AIツールを使いこなす)、上流スキル(設計・技術面でビジネス側を牽引)、対人スキル」。
これだけのスキルを備えた人材の育成は三井物産ならできるだろうが、どれだけの企業が対応できるのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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