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「解雇規制、時代に合った形を」 新浪氏、総裁選の議論進展に期待

経済同友会の新浪剛史代表幹事は17日の定例記者会見で、自民党総裁選の主要な争点に急浮上した解雇規制の緩和について「今の時代に合った形を議論することは必要だ。タブーなく議論してほしい」と述べ、進展に期待を寄せた。
 経済界は解雇へ厳しい要件を課す現行規制によって労働移動が妨げられているとの立場。新浪氏は改めて「規制を見直さなければならない」と訴えた。経営側が乱用しないようにするために「(解雇には)いくつか条件を付ける必要がある」と語った。  
また、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収は実現されるべきだと主張。「日本製鉄が支援しなければUSスチールの生存にも関わる」と訴えた。
(共同通信 9月17日)

解雇規制の議論は雇用側と労働者側で論点が異なる。「雇用側が解雇しやすくなれば、労働者側にとって転職しやすくなる」という趣旨の小泉進次郎議員が自民党総裁選立候補にともなう政策として打ち上げた当初の論法は批判の的になったが、それは当然の成り行きだ。事業モデルが転換すれば黒字でもリストラを断行する会社では雇用の安心を得られず、たぶん求心力は働くまい。
解雇を関わる政策を議論するには、労働者側との議論が必須である。金銭による解雇の断行について、連合(日本労働組合総連合会)は2022年04月、「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」報告書に対する談話を発表している。
「連合はかねてより、不当解雇であっても会社が解決金さえ支払えば解雇できる制度は、一体誰を救済するためのものか全く理解できないと主張してきた。労働者保護のために必要なことは、不当に解雇されず、労働関係法令が遵守され、安心して働き続けることのできる職場環境、社会の構築である」
 そう主張したうえで、次のように方針を示した。
「連合は、本来守られるべき労働者の地位を蔑ろにする解雇の金銭救済制度に断固として反対するとともに、構成組織・地方連合会と一体となり、導入阻止に向け取り組んでいく」
 ただ、金銭による解決は金額によって是非が分かれるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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