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70歳以上の雇用制度化46% 中国地方の企業

中国地方5県の労働局の調査によると、70歳以上でも働ける制度を設けている中国地方の企業は、昨年6月時点で46・4%(全国は41・6%)を占めた。前年同期に比べ2・5ポイントアップした。人手不足が深刻になる中、各社は希望者の雇用継続や定年制の廃止などに取り組んでいる。  
各労働局が従業員21人以上の計1万3987社を調べた。県別は、広島42・2%、山口46・8%、岡山45・3%、島根55・3%、鳥取42・6%。いずれも全国平均の41・6%を上回った。島根は全国トップだった。
 70歳以上まで働ける制度があるとした広島県の2322社に具体的な制度を尋ねると、「希望者全員を継続雇用」が最多の25・5%。「基準該当者を継続雇用」が21・2%、「定年制の廃止」が9・2%、「定年が70歳以上」が7・5%で続いた。「その他の制度」は36・6%だった。  
国は2021年4月に高年齢者雇用安定法を改正し、定年延長や継続雇用、業務委託契約などで70歳まで就業機会を確保することを努力義務としている。広島労働局は「70歳以上になっても働きたい労働者もいる。企業が雇用制度を設けているのは有意義」と指摘。「若い世代を雇うのが難しくなる中、高齢者を引き続き雇いたいという事業者が多い」と分析する。
(中国新聞デジタル 9月16日)

高齢者の就業はもっぱら人手不足対策で取り上げられるが、健康との関係でも着目してみたい。
働くことが高齢者の健康増進に資することは一般論として広く知られているが、2020年国勢調査で65歳以上の就業率が都道府県別で1位だったのは長野県で、就業率は31・6%だった。
昔から長野県は長寿県だが、健康寿命も高い。国民健康保険中央会が公表した要介護度をもとに算出された健康寿命が、22年に女性は84.9歳で7年連続、男性は81.0歳で2年連続の全国1位になったのである。
この結果について、長野県は①高齢者の高い就業率、②野菜摂取量の多さ、③健康ボランティアによる自主的な健康づくりの取組み ④専門職(医師、保健師、管理栄養士等)による活発な地域の保健医療活動を挙げている。
 高い健康寿命の要因は就業率だけではないが、要因のひとつと長野県はみなしている。確かに働いている高齢者のほうが、悠々自適の日々を過ごす高齢者よりも活力があるように見える。高齢期を迎えてもなお就業するかどうかは本人の考え方次第だが、健康のためには就業したほうがよいのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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