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NTT、米テックの人材 復帰誘う

NTTは6日、退職者を再び受け入れる「アルムナイ(卒業生)採用」を活性化するイベントを開いた。退職した元社員と現役社員がNTTグループの事業やビジョンについて議論を交わした。グループ横断で交流ネットワークをつくり、米テック大手などに流出した人材が復帰しやすい仕組みを整える。競争力の維持・向上につなげる狙いだ。
「NTTが人生のゴールじゃないと思った」「想定以上の金額でオファーをいただいた」。6日夕、東京・大手町で開いたイベント。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や米セールスフォースなどに転じたNTTグループの元社員3人が退職を決めた理由を語るとフロアが沸いた。
 イベントには約250人が参加した。想定を上回る応募があり、抽選になるほど関心は高かった。グループ横断の開催は初めてだ。これまではNTTデータなどそれぞれの事業会社や有志社員による取り組みにとどまっていた。
(中略)
 NTTグループは「GAFA予備校」とも揶揄(やゆ)された。
 「GAFAから戻ってきたいと思える会社」にする」。2022年にNTT社長に就いた島田明氏は民営化以来最大ともいわれる人事制度改革を進めてきた。(日本経済新聞 9月7日)

 日本企業からGAFAに転職する動機は高報酬だけでなく、世界最先端のビジネス環境でスキルを試し、飛躍的な成長を図りたいという志向性があるからだろう。GAFAの平均在籍年数は2年といわれているが、たとえ2年でもその期間にスキルを向上させ、退職したら他のGAFAに転職して経歴をピカピカにしたいという意図もあるのはないだろうか。
 スタートアップIT企業の経営幹部の経歴にGAFA出身が強調されている例を散見するが、それだけ価値のある経歴のようだ。
 上記の記事の舞台であるNTTがGAFAへの人材排出機関と扱われるのなら「人材の宝庫」としてメンツを保てるだろうが、「GAFA予備校」では、NTT勤務が「予備」で、GAFA勤務が「本番」と序列化されているようで、これかりは看過できまい。GAFAへの転職組が再入社してくれば、この序列化を修正できる。
 ただ、NTTとGAFAの賃金格差は顕著だ。エン・ジャパンが運営する口コミプラットフォーム「エンゲージ」によると、グーグル日本法人の平均年収と最高年収は、25~29歳はそれぞれ761万円、1200万円。30~34歳は1012万円、2300万円。35~39歳は1289万円、 2200万円。40~44歳は1430万円、3500万円。45~49歳は1667万円、3000万円。
 NTTはグループ各社によって差があるが、NTTの場合、25~29歳の平均年収が476万円、最高年収は650万円。30~34歳は608万円、950万円。35~39歳は745万円、1050万円。45~49歳は710万円、1050万円。50~54歳は836万円、1500万円。55~59歳は835万円、1100万円。
 この差を受け入れられるかどうかは当人の金銭感覚による。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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