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人手不足の中小企業、6割強が「事業運営に深刻」 日本商工会議所調べ

日本商工会議所と東京商工会議所が9月5日に発表した「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」(回答2392社)で、人手が「不足している」との回答が6割超と依然として厳しい人手不足の状況が続くことが明らかになった。さらに人手不足企業の6割超が、事業運営への影響について「非常に深刻」または「深刻」と回答した。
シニア人材の活用では、法定下限(60歳)を超える定年の措置を講じている企業が半数超。定年後、義務(65歳まで)を超える継続雇用の措置を講じている企業は6割超。規模が小さい企業ほど、シニア人材に対して年齢に関わらない処遇を行っている企業が多い傾向があった。また、回答企業の4社に1社が外部シニア人材をすでに「受け入れている」と回答。「適当な人材がいれば受け入れたい」と合わせれば、約6割が受け入れに前向きだった。
女性の活躍推進については、女性のキャリアアップ支援に「必要性を感じている」企業は8割を超えたが、半数近くが「十分取り組めていない」と回答。課題として「育成のための仕組みやノウハウが不足している(研修等)」「本人が現状以上の活躍を望まない」との回答がいずれも5割近かった。(日本商工会議所作成ニュースリリースを要約 9月5日)

中高年社員や女性社員の戦力化は、人事制度の見直し以前に当人の志向性に大きく左右される。中高年社員の戦力は、たとえ国が「人生100年時代」「生涯現役」を喧伝し、公的年金の受給開始を遅らせると1回当たりの受給額を増額する措置を打ったところで、優先すべきは国策よりも自分の人生である。
悠々自適を選ぶ高齢者に現役復帰を促すことは現実的でないが、悠々自適に入りたい年齢は70歳が多いようだ。焦点は60代の戦力化である。
内閣府の「高齢者の経済生活に関する調査」は60歳以上を対象にした調査だが、働きたい年齢で最も多いのが「65歳くらいまで」で25.6%。次いで「70歳くらいまで」が21.7%、
「働けるうちはいつまでも」が20.6%だった。「働けるうちはいつまでも」の回答者は75歳前後や、あるいは80歳も視野に入れているのかもしれない。
 何歳まで働きたいか。その目的は回答者の年齢によって異なる。年金の受給が差し迫っていない年齢では、視野を占めるのは生きがいである。オンライン・アンケート「ミルトーク」の調査では、「本人が出来るなら何歳でも。働く方が色々な意味で老けないと思います」(54歳・男)「死ぬまで働きたい。社会とかかわっていたいから」(58歳・男性)という目的が回答された。
 だが、60歳で定年退職をすると、公的年金だけでは生活設計が成り立たないという現実に直面する。65歳まで再雇用されても、70歳までの雇用は努力義務なので会社からオファーがなければ離職するしかないが、生活のために職を探して働きつづける。そんな高齢者は珍しくないので、この年齢層には戦力化の余地がある。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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