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三井住友リース、初任給4万円増の30万円

三井住友ファイナンス&リースは2025年4月に入社する大卒総合職の初任給を4万円引き上げ、30万円にする。初任給の引き上げは2年連続で、上げ幅は過去最大になる。賃上げをてこに優秀な若手を集め、航空機リースや不動産、再生可能エネルギーなど多角化する事業に必要な専門性の高い人材の育成につなげる。
固定残業代などを含まない金額でみると、30万円の初任給は金融業界では最高水準だ。三井住友リースは2023~24年度に計3回、基本給を一律で底上げするベースアップ(ベア)を実施し、中堅社員を中心に待遇を見直してきた。初任給の引き上げで若手の処遇も大幅に改善する。
三井住友リースは社内の研修制度にも力を入れる。人材育成にかかる費用を25年度に22年度比で3倍の約6億円を増やす計画を掲げ、2022年10月から社員の専門性を高める研修プログラムを始めた。ITパスポートなどのデジタル関連の資格取得を促すなどして社員の学び直しを積極的に後押しする。
(日本経済新聞 8月23日)

大幅な賃上げを実施できる企業、できない企業――その違いが人材確保の明暗を分けることになりそうで、とくに無理に賃上げを実施した中小企業には、ほどなく賃上げ疲れが生ずるのではないだろうか。
 賃上げラッシュの中でも賃上げを実施しなかった中小企業が5割近いというデータもある。フォーバルGDXリサーチ研究所が今年5月に発表した「中小企業の賃上げに関する実態調査」は中小企業の経営者600人を対象に実施したが、苦しい現状が垣間見える。
中小企業の半数以上が賃上げを実施し、賃上げ予定の企業も61.3%という結果は、半数近くが賃上げを実施せず、賃上げを予定していない企業が4割近いことを示している。なぜ賃上げを実施できないのか。理由は多い順に「業績低迷」(36.6%)「景気低迷」(26.8%)「雇用維持の優先」(26.0%)だった。
賃上げ率も、日本労働組合総連合会による2024年の平均賃上げ率5.25%に対して、この調査で明らかになった中小企業の賃上げ率は、1%~3%が38.3%、3%~5%が34.7%と顕著に下回った。
人材確保の勝ち組と負け組の分岐点が賃金水準であることは従来から不変だが、賃上げラッシュでその分岐点は峻厳になってゆく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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