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私立学校の教員も処遇改善へ…文部科学省

文部科学省は、公立学校教員の処遇改善に合わせ、私立学校を運営する学校法人への補助金を増額する方針を固めた。2025年度予算の概算要求で、私立学校への補助金に今年度の予算額から3%増の868億円を盛り込む。
 3%の引き上げは、補助金の算定方法が現行の仕組みとなった2012年度以降、最大の上げ幅だという。私立学校の教員給与は各法人が決めるが、文科省は人件費を充実させるよう促す考えだ。
 文科省は公立学校教員について、残業代の代わりに教員に一律支給されている「教職調整額」を、基本給の4%から13%に引き上げる方針を示している。
 私立の小中高校は全国に約2400校あり、約130万人の児童生徒が通う。文科省によると、公立と私立の中高教員の給与は平均700万円程度と、ほぼ同水準だという。
 多忙化や長時間労働などで教員人気が低迷するなか、文科省は私立学校の教員についても処遇改善を図る必要があると判断した。
(読売新聞オンライン 8月23日)

 公立学校教員の処遇改善に先立って、文部科学省は公立学校教員の処遇改善案をまとめたと報道された。みなし残業代に該当する「教職調整額」を、基本給の4%から3倍超の13%に引き上げる方針という。引き上げ率が妥当かどうかよりも、教職調整額の改定が50ぶりであることに驚く。
 教員不足の要因に指摘されるのは賃金水準よりも労働時間だが、連日の残業に部活道の業務で休日出勤をこなしている状況で、みなし残業代が基本給の4%では、いかにも定額働かせ放題だろう。
全日本教職員組合が全国47の教育委員会の教育委員会から得た回答をまとめた調査結果によると、2024年5月時点で各教育委員会の計画に対して不足している教員数は、小学校で1732人、中学校1244人、高校433人、特別支援学校473人などで、全国の公立学校で4037人の不足が明らかになった。
 教員不足が解消しない限り、長時間労働問題を解消するのは業務のアウトソーシング以外にないのだろうが、教育の質を担保できる仕組みが確立されればよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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