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プライム「女性役員ゼロ」なお69社 前年度からは半減

女性役員がいない東証プライム上場企業は69社で、全体の4.2%であることが日本経済新聞社の集計でわかった。政府が女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)で掲げた「女性役員ゼロ企業0%」の目標期限は2025年に迫っている。
24年3月末と23年3月末時点で東証プライムに上場する1628社を対象に、23年度(23年4月期から24年3月期)の有価証券報告書「役員の状況」記載の男女別役員数から算出した。最も数の多い3月期末決算企業は、6月末の株主総会での役員選任を反映している。
女性役員ゼロの企業は前年度の146社(9・0%)から半減。ドラッグストア運営のGenky Drug&Storesで3人が社外取締役に就くなど81社が新たに「ゼロ状態」を解消した。
政府は23年6月にまとめた女性版骨太の方針で「30年までに女性役員比率30%以上」の目標を掲げた。同年12月の閣議決定では「25年までに女性役員比率19%」を中間目標に設定している。
(日本経済新聞 8月20日)

女性役員比率は女性の活躍を示す重要な指標だが、ジェンダー投資の観点で機関投資家は何を望んでいるのだろうか。
内閣府男女共同参画局が2023年4月に発表した「ジェンダー投資に関する調査研究報告書」に機関投資家の見解が紹介されている。
女性活躍情報でとくに重視する情報は「女性活躍の取組を踏まえた経営戦略を重視している」と答えた機関投資家は、その理由を「女性活躍を 推進すること自体が最終的な目標ではなく、女性活躍を通じた人的資本の高度化 や経営戦略の実現、企業価値向上が重要だと考えている」と述べている。
企業価値を向上させるために注力することが望まれる取り組みについては「女性を含めた様々なバックグラウンドを持つ人材を適切に採用し、 活躍させ、自社のキャッシュフロー創出につなげる仕組みができているか、という点に注目している」「女性登用によって企業に起こった変化や効果を外部に発信してほしい。女性登用による変化の積み重ねが、将来的なキャッシュフロー にポジティブな変化をもたらすと考えている」などの見解があった。
機関投資家は女性活躍情報の改善も望んでいる。「女性管理職比率とあわせて、目標とそれを達成するための仕組みの開示があると望ましい。仕組みや取り組みが具体的に明らかにされていないと、その目標の実行性を判断することが難しい」。数字合わせではなく実効性を点検するのは当然で、その次には女性役員起用の巧拙が問われてゆく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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