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パーソル系など派遣各社、建設IT人材育成 3D設計推進へ

パーソルテンプスタッフ(東京・渋谷)は建設業界に派遣するIT(情報技術)人材の育成を強化する。ソフトウエアで建物の3D設計図を作る技術者を2028年度末までに300人育てる。ヒューマンリソシア(東京・新宿)も外国籍社員の派遣を拡充する。建設業界の設計のデジタル化が急速に進むなか、派遣各社はIT人材の育成に手が回らないゼネコン各社の需要に応える。
建設業界では建材や建物仕様の情報をひも付けた3Dの設計データのシステム「BMI(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の活用が進む。施工で必要な情報をタブレット端末などで共有でき、建設作業の生産性向上につなげることができる。建物の施工後も照明や空調といった設備情報を一覧できるため、維持管理にも役立てやすいのが特徴だ。
パーソルテンプスタッフでは23年8月からBIMソフト開発のグラフィックソフトジャパン(東京・港)と連携し、建設業界で即戦力となる派遣技術者の育成を始めた。BIMのソフトを扱うことができる技術者を現在の50人強から28年末までに300人まで育てる計画だ。
(日本経済新聞 8月13日)

国土交通省は「①BIMによる建築確認の環境整備、②データ連携環境の整備、③維持管理・運用段階における デジタル化を進めることにより、建築BIMの社会実装の加速化を図る」と表明し、2025年度からBIMを建築確認申請に適用する。
建築確認申請にBIMを適用すれば、図面審査ではBIMデータから出力されたIFCデータとPDF図面の 提出により、図面間の整合チェックが不要となり、審 査期間の短縮に寄与し、データ審査ではIFCデータ(オブジェクト交換のファイル形式)を審査に活用し、審査に必要な情報が自 動表示されることにより、審査機関の短縮など審査の効率化寄与するという。
国交省は、データ入力ルール等などの整備とデータの受け渡しルール等の共通化を進めることで、設計・施工・維持管理等プレーヤー間でのBIMデータの横断的活用を進め、建築分野の生産性向上をめざしている。
いずれ建築確認申請をBIMに一本化する流れをつくっている印象。こうした流れは各業界で起きている。対応できる人材の育成・確保を急がないと生産性の改善だけでなく、行政手続きにも支障が生じかねない。専門人材の派遣会社や紹介会社には引き合いが増えるのではないだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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