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東急不動産系ホテル、外国人採用5倍に 訪日客対応を強化

東急不動産傘下の東急リゾーツ&ステイは今後10年で外国人社員を580人と現在の約5倍に増やす。西武・プリンスホテルズワールドワイドは2024年度の外国人採用を前年度比で2割増やす。ホテル各社では新型コロナウイルス禍で離れた社員が戻らず、急増する訪日客への対応に苦慮している。外国人の積極活用で人手不足に対応する動きが業界に広がっている。
会員制リゾートホテルなどを手掛ける東急リゾーツ&ステイは現在120人程度の外国人社員を33年までに580人に増やす。訪日客が急増するなか、外国人を積極的に採用して人手不足に対応する。
東急リゾーツ&ステイは現在120人程度の外国人社員を33年までに580人に増やす。社員に占める外国人の割合を現在の6%から30%程度まで引き上げる。ホテルや会員制リゾートホテルを相次ぎ開業するなか、国内の新卒採用だけでは運営が追いつかないと判断した。
(日本経済新聞 8月9日)

 ホテル業界に人材が流出している業界のひとつに介護業界があるという。介護現場で培った対人サービスのマインドやスキルを活用できるからだろうか。
 介護業界は人手不足が慢性化しているが、入職超過率が 2019年、20年、21年と前年比増をつづけてきた。就労者の総数は増加してきたのである。ところが22年に局面が変わり、
マイナスに転じた。人数にして6万3000人で、これだけの就労者が他業界に流出した。
 他業界に流出した人材は、転職先の業績悪化で人員削減が実施されれば介護業界に戻ってくる可能性もあるが、そうでなければ賃金格差が開いている以上、戻ってくることは期待できないだろう。
 この現実を踏まえて、国はどう動くのだろうか。その動きが顕著に現われたのが24年度介護報酬改定である。改定率は1.59%増だったが、そのうち0.98%が介護職員の処遇改善加算に充当される。事業投資などに充当できるのは0.61%に過ぎず、介護報酬改定は「処遇改善改定」だった。人材流出がつづけば3年後の介護報酬改定も同様になりかねない。 
ホテル業界が外国人採用を強化するなかで、技能実習生の監理団体など外国人労働者の紹介事業者には、紹介先を介護業界からホテル業界に切り替えた例もある。事情を聞くと「ホテルのほうが、就職人気が高いから」。選ばれる業界をめざして業界間の競争が苛烈になっていくだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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