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働く高齢者、年金減見直し 65歳以降の就労促進へ

政府は17日、65歳以降に働くと賃金に応じて厚生年金の受給額が減る「在職老齢年金制度」を見直す方向で検討に入った。高齢者の就労を促す狙い。制度の縮小や廃止を視野に入れ、年末までに結論を出す。中長期の高齢化対策の指針となる「高齢社会対策大綱」の改定に向けて話し合う有識者会議が同日、報告書素案で見直しを求めた。
働きながら年金を受給する65歳以上の高齢者は約308万人(2022年度末時点)に上る。賃金と厚生年金の合計が月50万円を超えた場合、在職老齢年金制度に基づき年金額が減らされ、就労意欲を阻害しているとの声があった。  
有識者会議は8月にも開かれる次回会合で報告書をまとめる。
(共同通信 7月17日)

 公的年金の支給年齢を75歳まで遅らせ、定年を75歳に引き上げる――これが社会保障政策のゴールであることは、中年期以降の就労者なら多くが気づいている。健康寿命が尽きるまでは年金を受け取らずに働きなさいというメッセージが込められている。
 政府が何かにつけて「人生100年時代」を喧伝するのも、75歳まで働きつづけることを促す意図があるからだろう。健康寿命がつづく限り働きつづけ、悠々自適はそれ以降にお預けというシナリオが見え隠れする。
 政府の意図への反発が表面化しないのは、シナリオが日本人の気質にマッチしているからだ。欧米なら仕事を引退できないライフスタイルは容認されないだろうが、生涯現役と是とする日本では容認される。
もっとも厚生年金(国民年金を含む)の平均受給額が15万円に満たない現状を踏まえれば、65歳で再雇用が終了しても、なお働きつづけないと生活が成り立たない。そうであれば賃金と厚生年金の合計が月50万円を超えた場合、年金額が減らされる制度は好ましくない。勤労意欲を引き出して、付加価値の高い仕事をしてもらったほうが得策だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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