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中途採用トラブル1位「経歴詐称」

履歴書や面接内容に間違いがないかをチェックする株式会社企業サービスの調査によると、中途採用で多いトラブル第1位が「経歴詐称」。しかもこの数年、増加傾向だという。驚くのはその中身で、同社の吉本哲雄氏は「勤続12、13年、部長職という申告だったが、調べてみると実際はわずか3カ月、しかも試用期間で退職になっていた。辞めたのは9年前で、それ以降今まではアルバイトを転々としていた人がいた」と話す。
(中略)
経歴詐称が増える背景について、転職エージェント・マジキャリ代表の末永雄大氏は「転職市場・採用市場が激化して、SNSやYouTubeなどどこにでも情報がある。“転職したら年収アップ”みたいなことが喧伝されている中で、“このままでいいのかな?”と、恵まれた環境なのに安易に転職してしまう若い人が増えている印象だ。そこから辞め癖がつき、どんどん職歴が荒れていく」と話す。  株式会社クイック「転職Hacks」の調査によると、面接でウソがばれたのは「回答を深堀りされボロが出た」が41.4%、「仕草や表情が不自然」が34.5%、「証明書の提出や手続き」が17.2%などとなっている。
(ABEMATIMES 7月6日)

 社員の経歴は年金手帳でチェックできるうえに、詐称は解雇の要件になることを応募者は知っておくべきだ。信用調査会社にも経歴調査が依頼されるケースがある。調査担当者が履歴書の職歴欄に記載されている会社に在籍確認を取れば、在籍の有無も在籍期間も、さらに役職も判明する。このように詐称は簡単に発覚するのだから事実を書けばよい。
 そして履歴書以上に記載内容がときにマユツバなのが職務経歴書だ。事実をありのままに記載すべき書類なのだが、誇張した記載が多い。事実を捻じ曲げていなければ詐称ではないが、誤解を招く記載はいかがなものか。
たとえば「営業成績がトップ」と記載されていると、「全社で年間トップ」という印象を持ってしまう。しかし、全社のトップなのか、ブロックのトップなのか、営業所のトップなのか、あるいは年間のトップなのか、半期のトップなのか、四半期のトップなのかなど、実績のレベルが判然としない。
気になる記載は面接官が細かく詰めないと、凡人をエース級人材に過大評価しかねない。かりに面接で聞かれれば正直に答えるが、聞かれなければ「全社で年間トップ」と理解させようと考えるとしたら、その考え方自体が危うい。セルフブランディングといえばそれまでだが、自分を大きく見せようとする性癖は何かと問題を起こしやすい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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